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6時頃起床。顔を洗ってコーヒーを淹れた。
洗い場にコッヘルを取りに行くと、鼻の高い吉田さんが飯盒や食器などをゴシゴシ洗っていた。もうすでに前に住んでいたところを引き払って、この石垣に住むのだそうだ。お金が貯まるまでここのキャンプ場に住んでバイトをするようだ。(大丈夫か?)「住む」と言うと、地元の人もつきあい方が変わるらしく、難しいものがあると言っていた。吉田さんが、なんとなくここのキャンパーに馴染まないのもそういう背景があるからなのかも。エータローが起きて来たが、話に入らなかった。 荷をたたむ頃、ザーッとひと降り。広げて乾かしていたフライシートやテントの裏が濡れた。青山学院の自転車青年が雨の中、泳ぎに行くといって挨拶しに来てくれた。だんだんみんなが起きて見送ってくれた。 とりあえず離島桟橋まで来て、さんぴん茶をがぶ飲み。一日暇なので離島でも行ってみる? 最初、ちゅらさんで有名になった小浜島行きの切符を買ったが、思い直して波照間に換えて貰った。 11時発。西表行きのフェリーとはまったく違う高速艇。ビュンビュン飛ばす。荒波荒波。 波照間ではスクーターをレンタル(時間700円×3時間)。日本最南端の荒波打ち寄せる崖っぷち。集落をジグザグに走った。竹富島の自転車はきつかったけど、スクーターは楽でいい。 恐山の宇曽利湖や仏ヶ浦が北の彼岸だとすれば、ここは南の彼岸かも知れない。その名も「西の浜」だし。 幻の「泡波」がおみやげやで売られていた。土産にとしばらく悩んだがTシャツ3枚と抱き合わせ販売で、さすがに3枚はいらないのでやめた。 スクーターを返すと、港まで徒歩。これがまた猛太陽の餌食。ほとほと草臥れ果てた。バテた。レモンかき氷を食べた。2杯食べなかったのは待合所に冷房が効いていたから。 農家のおじさんが売店の泡波をロックでやりながら、観光のねえちゃんにいろいろたずねられていて嬉しそうだった。 帰りは波が高いのか飛び魚のようにザンッ、ザンッ、と高速艇は飛んで走る。水しぶきがもの凄い。TVのニュースでは「Uターンラッシュが始まった」と、伝えていた。 石垣島17:30着。片道1時間。 石垣島に来る飛行機で会ったおばさん、渡辺さんのウィークリー・マンションに行かねばならぬ。とりあえずホテル・パルゴを探すが不案内な土地なので見つけられず。 電話をすると「にいちゃんの連絡が遅いから、ウィークリー・マンションには他の人を入れた。ラブホテルに泊まり。」と言われた。だいたい思った通りだった。そんなことになるんではないかと思っていた。「チェック・インが8時から」なのでそれまでぶらぶら。コインランドリーで洗濯。 ホテル・パルゴ。一泊3500円。ウィークリーマンションと同じ値段にしてくれた。受付の人が片足の不自由な人で、3階の部屋まで案内してくれた。「こっちかなぁ?こっちかなぁ?」とかいいながら汗みずくになりつつ3部屋見せてくれた。まあどれも同じ。 冷房が有料なので翌朝の9時まで、約13時間分、クーラー代を払ってくれた。30分100円(計2600円)。その小銭を入れる箱がまたずいぶん上の方にあって、びっこのおじさん、チャリンチャリンいれるのにひと苦労。代わりましょうか?と言うが、自分の仕事だからというプライドもあり100円玉26っ個、やり遂げてくれた。渡辺さんにいろいろ言われていたのかな? 久しぶりにゆっくり風呂に入って、柔らかいベッドでゴロゴロ。カメラの充電が終わって、携帯電話の充電もできる。 沖縄本島はちょっと雲行きがあやしいとテレビで言っている。う〜む。 #
by magari_tumuzi
| 2006-07-20 13:15
| 2001夏.沖縄行XT500
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* * * 七月十九日。曇り。 「こういうものです。」と、玄関で名刺を差し出された。ついにやってきたテレビ局。「○○局第二課長虎澤龍太郎と申します。まあ、ディレクターみたいなもんです。」 「はあ、ディレクターといわれましても…」 「昨晩は遅くまでお騒がせしまして申し訳ありません。お詫びのしるしにこれを」パルナスのケーキのひと箱差し出される。なかなか本題を切り出さない。 「お詫びといわれましても、田圃の事は大家さんのほうへうかがった方が良いのでは?」 「大家さんの方へは、もう行って参りましたので」と土間から家の中をうかがう目線がいやらしい。何かが起こるのを期待して、わざと暗くなる時間を待って訪ねてきたのだろう。 「おおーい。」と、ツム児君の呼ぶ声。 「おおーい。」「おお〜〜〜い。」ふざけてノリのいい女子の声がのっかる。 見ると珍しく女性を連れている。 「どーしても来たいって言うんだよ。ごめんよ〜」「ゴメンナァ〜〜」「ゴメンチャ〜〜イ!」 「いいよいちいち言わなくてさ。こっち、アイコと、愛ちゃん。芝居の照明やってるの。」 「芸大生?」 「そう、舞芸」「ブゲー。」舞芸とは舞台芸術学科のこと。ふたりとも合わせているのか、細身のGパンに白いTシャツ。胸の膨らみが眩しい。 「客が来たので、他に用がなければこれで。」ケーキは虎澤氏に返して、ツム児君一行を招き入れた。 「ふ〜〜ん、いいおうちやねぇー。」 「広いなぁ。」 「眺めもええし。」 「芸大はどっちになんの?あっちぃ?」 明るい女子がふたりも来ると賑やかになっていい。昨日の山伏対虚無僧とはまるで対極の風景かも。 「ジョイハウスの所歩いてたらさ、車から『オマンコーー』って叫んで走ってくんだよ、この人達。あぶないよ。」 「オマンコー」「オーー!でも今の誰?」 「まあまあまあ。」まったく遠慮がない。「テレビの人。昨日田圃に車落としてたから謝りに来た。」 「ああ、晩遅くクレーンで引っ張ってたのテレビ局の車?あれ。」 「アイコでも落ちへんかったわ、下の道やろ。」 すると、愛ちゃんがガラス戸に走っていった。虎澤が覗いているのを見つけたのだ。戸を開くなり 「うち愛子いうねん。よろしくな。ケーキもろうとくわ。おーきに。」 「愛ちゃんエラ〜イ。ケーキ食べよ。コーヒーある?」 「ふたりとも『アイコ』っていうの?」と、聞くと 「同じやねん」と答えてお湯を沸かしに行った。「でもアイコの『アイ』は藍色の藍やねん。こっちのがええやろ?」 「えー、うそや、愛情の愛の方が可愛いやん」と、愛ちゃん。 「違う意味の言葉なんだから、どっちも大事なんだよ。どっちも役割が違うだろ。だから両方平等なんだよ」と、ツム児君。わかったような、わからないような。 「どっちでもええわ。うちら仲良しやもん。アホか。トイレどっち?」ツム児君が指を差して教える。 「女の戯れには口を出すもんじゃないね。」 「うわ〜〜〜〜!!!」と台所からアイコが走ってくる。後ろから節くれ立った手が何本も伸びてくる。「愛ちゃ〜〜ん」というので、トイレの方を教えた。 手が節くれ立っているのではなくて、手がずんずん伸びるに従って関節が三つ四つ五つと増えているのだ。植物が伸びるように手が伸びてくる。太い竹箒を何本も束ねてこちらに向けられているように見える。しかも関節関節で腕が折れ曲がってうごめくのでこんがらがって見える。 さらに腕がカクカクと盆踊りを踊るように近づいてくる。アイコはしばらくツム児君の肩に掴まっていたが、我慢しきれなくなり愛ちゃんの入っているトイレに駆け込んだ。不思議と鍵が掛かってないのだな。すると今度は愛ちゃんの悲鳴。トイレでも何か出たのか? 「ウギャ〜〜〜!」尻舐めたぁ〜〜〜!!なめたらかんなめたらかん……でぇーーーー!!!」ふたりとも抱き合うように走ってきて、こっちの腕の化け物を見てまた悲鳴を上げる。愛ちゃんはズボンが下がっているので走りにくいうえにお尻が丸見えだ。 「ウワワワワ」 「タスケテタスケテ」 ツム児君が這ってガラス戸の方に逃げると、ふたりとも四つん這いで着いていった。ガラリと戸を開けるとまだ虎澤が立っていたが、これもそちらに腕の集団が進み始めると逃げ出した。 腕は曲尺のように折れ曲がりつつ部屋の中で繁殖して、顔や身体を撫でまわす。掴んで引っこ抜こうとするとさっと引っ込めるので捕まえようがない。面倒なので構わぬ事にして、沸いた湯で紅茶を入れて、ショートケーキをひとついただいてベッドに入った。 裏の道を車が帰っていくヘッドライトの明かりが窓を横切った。雨が音も立てずに落ちているのが見えた。 * * * 池袋の東急ハンズに、止まってしまった掛け時計を持っていった。方位磁石で磁気を調べたり、電池の残量を見たりしていたが異常はないようだった。お店にあった電池に入れ替えるとしばらくしてなぜか針が動き出した。45〜50の間を廻るときに秒針が心許なく震える。針がちゃんと填ってないのかも知れない。 今同じ型の時計がないので渡せないが、「取り寄せできたらここで2~3日動かして動作の確認できた製品をお届けさして貰います」ということだった。 #
by magari_tumuzi
| 2006-07-19 01:23
| 七月のにぎやかな客人
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ところがその前に難題がひとつ。穴を開けたいところまでボール盤のドリルの歯が届かない問題を解決しなくてはならない。でもその件は、持つべきものはギターの師匠、ちゃんと解決できる作戦があったのでした。 それは「アクリルの塊にボール盤で垂直に穴を開けて、それをガイドにしてハンドドリルで穴を開ける」ということでした。(ハンドドリル用の垂直ガイドって、ハンズやホームセンターで見ましたがけっこう高い) アクリルの塊って意外に安いです。穴も開けやすいです。 ごもごもごもごも、ごもっともぉ〜〜〜。(今週はお休み?) やってみました。バッチリ。これも腕と慎重さがあればもっと上手くいったかも。でも、穴の微妙が揺れ具合が、ヴィンテージものに似ていていいかも。これはこれでこういう音になるんですよ。きっちり作ればきっちりギター。ダダクサに作ればダダクサギターな音になる。それがいいのよ、自作ッて。 (ホントっすか?) その他、いくつか開けなくても良いところに無駄な穴を開けてしまったので塞ぐかどうか悩み中。ちょっと悲惨な光景でしょ。ううう。大丈夫かぁ?これ。 #
by magari_tumuzi
| 2006-07-18 21:07
| 楽 器
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昨日、東急ハンズで時計も買ってきた。金曜くらいに壊れた壁掛け時計は1年持ちませんでした。そのまえはガソリンスタンドで貰った時計をずいぶん長い間使っていました。
東急ハンズで買った時計は、丸一日動いて停まりました。コンコン叩いても電池を替えても動かない。 バン! 強く叩いたら動き出したが、約一時間で止まった。どうなっとるンや? 先祖を大事にしてないからなのか?妙な電磁波でも出ているのか?保証書をゴミ箱から探すのは大変でした。まだあって良かった。とりあえず明日かあさってにでもハンズに行って直してもらうべし。 東京にいると、日本海側の大雨についてはテレビで見るぐらいで、実際の被害は想像もつきません。やはり海水温の上昇というのが雲の大きさに影響を与えていて大雨を降らしているんでしょうか? もしそうなら、とりあえず停車中の車はクーラーとアイドリングやめようよね。暑苦しいからね。 * * * 七月十八日。快晴。梅雨明けはまだ報告されないが、曇りのない青い空。 昨日、行ってないので少し足を伸ばして山田の小野妹子の墓まで犬の散歩。 石段を上ったところが円形の空間になっていて、ぐるり取り巻くように桜の木立が列んでいる。春の花見の季節には空中に浮かんだ桜の小島のようだった。そこに安っぽいコンクリートの物置小屋が出来ていて、半球形の空間を台無しにしていた。 「お花見、来年はもうダメだね。なあ、シロ。1500年の間、同じ様に見渡せた風景が、こんなちんけな用向きの建物で壊されちゃうんだ。社だけ守ってればいいって話じゃないのに。」 小野妹子の墓から推古天皇陵はすぐ近くで、よく通るルートだが、あんまり暑いので戻ることにした。野口のアパートの前を通るとすでに自転車がなかったので、もう学校に行っているのかもしれない。版画の実習室でひたすら絵を描いていた彼の姿を思い出した。 見かけないワンボックス車が、家の下の道を脱輪して田圃に落ちかかっていた。黒い窓なので中の様子はうかがえない。人が出て何かしていたように見えたが、近づくと車に入って出てこなかった。かまうのも面倒なのでこちらも知らんふりをして家に入った。 「お!」っと、声を出して驚くと、「これ」と大家さんがたしなめた。「蓮法尼さんが来てくださったんやで。」大家さんはじめ、懲りずに近所の人たち。墨染めの法衣に袈裟がけの尼さんが笑う。 「ああこんにちわ。先日はどうも」と、挨拶をすると 「ようやっとお盆のアレが終わりましてな。最前より気になっていたもんで、早速来てみましたんや。」 「香炉と香台の徳でずいぶん助かっています。」 「んな、おべんちゃら使わンでええわ。この人たちの様子見とりゃ役に立ってないのが丸見えや。あはははは」 ずいぶん肝の据わった明るい人だ。こういう人なら何とかしてくれるかも知れない。 「まず、ちっと早よ来すぎてしもたんで、化け物の出る時間までいきさつを話しておくれや。」 近所の人たちの炊き出しが届けられて、いつぞやと似たような風景。ただ今回はお天道様のように明るい蓮法尼が中心にいるので、勇気倍増である。 日が暮れると、窓の外を黄色い電気がくるくる回っている。田圃を見下ろすとJAFのクレーン車が来て、先ほどのワンボックスを引っ張っている。 「あれれ?」どうもクレーン車の挙動が変だと思ったら、クレーン車もひっくり返って田圃に転んだ。ガシャシャシャと鎖が揺れる音などしたが、映画のように爆発などはしない。田圃に半分埋まっているだけだ。 「あ!やりくさった。」と、田圃の持ち主の大家さんが掛けて出ていった。 「あれな、テレビ局ですわ。二三ち前からこの辺聞きまわっとりました。うちにも来ました。」 「うちにも来たわ。化粧しとらんからな、春日のラッキーに行ってセットしてな…」などなど。テレビ局の話題で騒々しくなった。 蓮法尼が、香を焚き数珠を手にとって用意をしたが、怪異は起こらない。 「みなはれ、現金なもんやで。妖怪といったかてれんぽうさんがいはるだけで、なぁ〜にもおこらん。」 言うやいなや、香炉が垂直に飛び上がりくるくる回転しはじめた。 「うわわっっ。」と二〜三人が悲鳴を上げたがまだ踏みとどまって成り行きを見ている。蓮法尼が数珠を降り手を合わせ般若心経を唱えはじめた。聖徳太子の御歯が玉に埋め込まれているという数珠だ。これに勝る法力の賜物はあるまい。 香炉は回転を停め、煙だけが渦を残している。そして香炉がふらふらと香台の上に落ちた。 「ほれ!ほれみなはれ!」 「これや!こんなもんやでぇ。さすがや、さすが西方院の別当や。」と、気色ばんで勝ち誇る人々。 と、朗々とした般若心経の詠む声に靄がかかる。 かんじざいぼさつ「ポク」……ぎょうじんはんにゃはらみったじ「ポク」……しょうけんごうんかいくう「ポク」……どいっさいくやく「ポク」……しゃりし「ポク」……しきふいくう「ポク」…… 「なんや、ポクポク言うとるで?」 向こう向きで経を読む蓮法尼からポク、ポク、と音が出る。注意してみているとあぶくのように丸い物がいくつも浮かび上がってくる。ポクという度に口から球体が飛び出てきて宙ををふわふわ漂う。 宙をクラゲのように移動しながら少しづつ大きくなる。なんとなくグニャグニャしていて気持ちの悪い物体が部屋に増殖してくる。 ふくふじょう「ポク」……ふぞうふげん「ポク」……ぜこくうちゅうむしき「ポク」……むげんにびぜつしんに「ポク」……むしきしょうこうみそくほう「ポク」…… よく見ると丸いモノには顔があり、それぞれが舌なめずりしたり、歯を鳴らしたりしている。経は止むことなく、化け物はどんどん増える一方でそれに触ってしまった人が外に駆け出したのを皮切りに全員逃げてしまった。丸くてグニャグニャで触るとネバネバしてなま温く濡れている。越前クラゲのように膨らんで吐き出して泳いだりもするようだ。 蓮法尼がようやく口を閉じて、気を取り戻した。部屋のありさまを見て何か呪を唱え、数珠を揉みながら印を結んだが効果はなく、丸いものに笑われている。 「これは」と、言いかけたところ丸い連中に担がれて、神輿のように揺さぶられる蓮法尼。「アラララ、アラララ、アラララ」悲鳴にならない困り果てた様子。 なんとか畳に飛んで降りると、すり足で走って外に出た。ガラス窓で成り行きを見ていた衆と一緒になって「ワァ」と声を上げながら遠ざかっていった。 これもしばらく放っておくと、しぼんできてシャボン玉が消えるように、ひとつづつ爆ぜて無くなった。 外にはもう一台大きめのクレーンが来て、深夜まで作業していた。何時まで作業していたのか、ぼくは寝てしまったのでよくわからない。田圃の蛙はクレーンが音を立てるのに負けじとガアガア鳴いていた。 #
by magari_tumuzi
| 2006-07-18 02:04
| 七月のにぎやかな客人
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7時15分ぐらい起床。ゆっくり寝た。 明日の沖縄行きの船にバイクを乗せる予定なので、今日で米原キャンプは最後。みんなにカレーでもごちそうしよう。コーヒーを飲みにやってきたエータローなどに伝えた。 ピーカンの空の下をXTで走る。毎日のように用があって離島桟橋まで走っていると道もたくさん覚えて、自分の島のような気がしてくる。マックスバリューで、肉・カレー・玉葱・じゃがいも・にんじん・ガラムマサラ・香辛料あれこれ・米などを購入。5000円ちょっと。 店を出たところで、炊事棟で無くしたコンタクトを作りに来たキャプテンと遭遇。 「レンズ屋に行ったら、眼科医に行けといわれて、眼科医に行ったら、明日来いと言われた」とぼやいていた。とりあえず度付きのサングラスと、度付きの水中メガネで過ごすらしい。ないよりはマシ状態? キャンプ場に戻って、松浦君と玉葱12個をみじん切りにする。仕事を辞めて旅に出た松浦君は、毎日みんなのご相伴にあずかっていて、たらふく食べる生活である。なにしろ彼が持っているキャンプ用の食器は、調理用ボール(直径20センチくらいの1Lはゆうに入るやつ)しか持ってなくて、それによそって貰うので、誰よりも余計に一杯目を食べられる。だからといってはなんだが手伝いは率先してやってくれる。 カレーは大学時代に貧しい自炊で作っていたくらいなのでたいした味付けはしない。味はフォンドボーのルーに頼るのみ。めぐみとくまっちがニンニクを剥いて肉に下味を付けたり。のっぽさんがにんじんとじゃがいもをぶつ切りにした。 エータローは、昨日ぼくが貰ってきた発泡スチロールの箱を使って、Tシャツ染めをはじめた。なるほどね。カーミーさんは高校野球を熱心に聞いている。 炊事棟におきっぱなしになってた巨大ナベふたつを使ってジクジク煮始めた。そのあたりで松浦君がめぐみをバイトに乗せていった。くまっちの味見によると「少し薄い」らしい。横から口を出されると途端にやる気がなくなる。 全員、米原キャンプ場で知り合った人たち。僕はその頃40歳を過ぎていたが、みんな大体二十代。いってて三十代前半。まったく対等に気を使わずに過ごせて楽しい。六十歳代?のカブのおっちゃんも来ていたが同じだった。 「美人が来た!」という情報。浜に急ぐキャプテンだったが、コンタクトはまだできないし、サングラスも持ってなかったので、度付き水中メガネをかけて走っていった。しばらくして「たいしたことなかった」とまんざらでもない顔で戻ってきた。 再び海でさざえ獲り。多分獲れなかった。 海から上がり再びカレーに火を入れる。シャワーの済んだキャプテンが米を研いでくれた。4合の飯盒がふたつと4合のナベがひとつで計12合。15人ぐらい集まりそうなので足りるかどうかちょっと不安。 カレーを味見してみるとやっぱりルーが薄いような気がする。 松浦君に買ってきて貰ったバーモントカレーを追加で入れてちょうど良くなった。 夕方、浜でヨガをやっているガリガリに痩せた長髪のにいさんを見るともなしに見ていた。まるでインドの行者のような風格。どこからか「それ、いいふんどしですねー。」と、声が掛かった。 「え?そうでしょー。シルクなんですよ。インドの。」 答える様が、なんだか威厳のある行者風の風体を裏切って普通の若者だった。しゃがれ声を勝手に想像していたら、さわやかな青年の声だった。あたりまえっちゃああたりまえか。 日が暮れる前に、ジャングルジムのあたりにテントを張っていた車椅子のきれいな女の子と彼氏と、その友だちなどがキャンプを仕舞って車に積んで帰っていった。ドレッドヘアをきれいに編み上げた女の子だった。米原は愉しめたかな? 20時過ぎ。日が暮れて、西表島で会った神戸の学生と友人、鼻の高い白いゴム長靴の人(吉田さん)、キャプテンと副キャプテン(彼女)、カーミーさん、やはり西表で会った青山学院大学の自転車のふたり、エータロー、めぐみ、くまっちとナンパされた彼女、11人でパーティーが始まった。 少し遅れてノッポさんがビールを買って戻ってきたのだが、行きしなにベスパがトンネルの向こう側で壊れたらしい。 通りがかりの地元の人の車に乗せて貰って店まで行って、わざわざキャンプ場まで戻って送ってもらったそうだ。あまり飲まずにあとでみんなで取りに行こうということになった。 乗せてくれたのが「15日の獅子舞」の関係者だそうで「ぜひ来て下さい。」と言われ、見に行かねばならないノッポさん。「与那国行きを遅らせなきゃなんない」とぼやいていた。 カレーはまあまあ好評だった。くまっちがさんざん「オレが薄いって言ったから」と吹聴するので気が悪かった。しかしおかげでそこそこおいしくなった。 松浦君の「旅ネーム」を決めようと言う話題になり、本人は自分の乗っているバイク名からとって「シャドウ」を主張したが、エータローは「それじゃあ、格好良すぎる」といって「Mr.ボール」を提案した。本人以外全員一致で松浦君は「Mr.ボール」と呼ばれることになった。ちょっと呼びにくいかな。 23時過ぎにノッポさんの置きっぱなしのベスパを引き取りに行った。真っ暗なジャングルのなじみのないワインディングを80キロぐらい出して走る。キャプテンは度付きサングラス(!)でノッポさんと175ccにふたり乗り。普通についてくる。やっぱすげえ人だ。ナニモノ? 山の中の道路脇にポツンとベスパ。ぼくが亀を拾ったあたりかも。近くにサッカー場があると思う。街灯なんかひとつもない。草むらに集まって、持ち寄った懐中電灯で照らしながら、キャブを開けてガソリンが来ているか?とか、プラグを抜いて磨いたりとかしていると、騒がしい音が近づく。 石垣島の暴走族。 ワウワウワウワウ!ワウワウワウワウ!10台ぐらいかな。ぼくは意気地がないので連中から目をそらしていたからわかんない。ジャングルの中を走る分には誰にも迷惑がかかんなくていいかも。向こうもこっちのひと気のないはずの暗がりに群がる数人に気がついてドッキリしたかも? キャプテンは知らぬ顔でバイクをいじっていたが、「じゃかぁしゃい!やったろかぁ!」と、途中から眼を飛ばしていた。よくは聞かなかったが、大阪の生駒あたりの族の長もやっていたらしい。だからキャプテン?顔も良い、肝も据わっている。冒険心もある。面白い。 (みなさん、いい男を捜すなら米原キャンプ場ですよ。) 結局ベスパは現場では直りそうにないので、工事現場で千切ってきたビニールロープで引っ張って帰ることになった。ぼくはいやだったけど、XTは500ccで一番馬力があるっぽいので仕方がない。 もう本当に前をまっすぐ見て、カーブも注意して、慎重に走っていたら、突然後ろでガシャ〜〜〜んとこける音。 急停止すると、牽引していたベスパとノッポさんが舗装道路に転がっている。どうやら後ろでふざけて月光仮面乗りなどをしていたらしい。ほげー!がっかり。こっちは懸命に転ばないように気を使って運転してんのに。 後ろについてサングラスで見ていたキャプテンは「死んだ。」と、思ったらしい。 上半身が深い側溝に落ちかけながら、ムクッと起きあがってきたノッポさんは擦り傷だらけ。みんなで笑ったり注意を促したり。笑い事で済んでよかった。 キャンプに帰ると食事関係の器などはすでに女子が洗ってくれていた。ぼくは翌日早いのでそうそうに失礼した。 #
by magari_tumuzi
| 2006-07-17 14:33
| 2001夏.沖縄行XT500
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