草履というかビーチサンダル。
ブルージーなスライドギターをちょいと聞いて帰ってこよう。そんなつもりで田村玄一のライブを聴きに出かけたのでした。
昨昨晩、鎌倉からの帰り道の側溝に溢れる雨水に、靴がずぶ濡れてしまったので昨日はビーサンで出かけることになった。タクシー乗り場は見たことがない長蛇の列だった。珍しいものが見られてよかった。
なんとなくパタパタ急ぎ足に歩いてギリギリ「2時」に間に合った下馬(げば)近くの「ジャックと豆の木」というギャラリースペース。料金を払うところで天使がいっぱい微笑みかけている。なにか怪しい宗教なのか?知らない若い女性に微笑みかけられることほど恐いことはない。
玄ちゃんも音楽家生活が長いから妙な「モノ」に巻き込まれてしまったのか?と思ったらそうではなかった。受付の天使たちはコーラスグループで全員似たような雰囲気を醸し出す生成な感じの衣装を纏っていただけだった。
「CANTUS」というコーラスグループ。
「クリスマスの病院施設でエレベーターの扉が開いたら、コーラスを練習中のナースが乗っていて、わたしは思わず泣きだしてしまった。」というような『猫のゆりかご』(カート・ヴォネガットjr)の大好きな一場面を思い出した。実際そういう感じだったが、小説にそういう場面があったかどうかあまり自信がない。
ブルージーなギター演奏を求めて来たが、出会ったものが女性コーラス。飴をなめようと口に放り込んだら喉の奥まで放り込んじゃった、みたいな微妙な気持ちだったけれど、とても良かった。
クラシック以前の宗教曲などをよく歌っているという解説だった。女性コーラスを聴くのは20年ほど前のブルガリアン・ボイス以来。宗教曲の合唱は、アッシジの聖フランチェスコ教会の礼拝堂で聴いた賛美歌以来。あの礼拝堂は地下の洞窟のような空間で反響が非常に美しく、身なりも性別も年齢もばらばらな多分地元の人たちの合唱が神秘的に響いて思わず終わりまで聞いてしまった。
雰囲気は異なりコンクリート打ちっ放しの反響を利用した、明るいコーラスもなかなかいいね。
コーラスが終わりDJタイム。目当ての田村玄一を見つけて挨拶。「セットに弦がないよ?」と聞いたら「今日はギター無し」と笑っていた。田村玄一のスティールパンはメトロファルス在籍中にソロパートで少し聞いたことがあった。
そのスティールパンの三人組「Sunshine Love Steel Orchestra」。『黒いオルフェのテーマ』?曲がとても良かった。スティールパンにとって少し響きすぎる環境だったかも知れない。鉄のがさつな音と楽器としてのクリアーな音の加減を微妙にコントロールしながら音の強弱とリズムとメロディーを同時に叩き出していくなんていう、見かけ以上に難しそうな楽器のアンサンブル。面白かった。
最後に天使たちとスティールパンのコラボレーションがあり写真を撮ろうと思ったら電池切れ。そういうわけなので天使の写真は無し。みんな見るのも眩しいとてもカワイイ女性ばかりだった、と書いておくことにする。
このイベント自体の主催が御成通りのレコード屋だという話を聞いた。いつも前を通りながらも、なんだかオシャレにすかして無粋なおいらにゃ関係ない!と思って入ったことの無かった店だけれども、今度、一度くらい覗いてみるかねえ。
マーガリンとバナナを買って海を通って帰った。
電池が切れていたので海の写真も無し。