ご三方のうち日本人ふたりはちょっぴり知人で、しかし一番古くから名前を知っているのはゾンネ〜〜ンシュターン。どこの★からキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!かは知らねど覚悟しろぞんね〜〜〜んしゅたーん星人!色鉛筆でエロい絵を描く作家。どういうエロい絵かと尋ねられても答えようがない。ここでは名前だけの紹介にとどめるので興味のある方は、銀座の青木画廊に行くか、Googleしてみるかしてみてください。澁澤龍彦もなにか評論を残していたと思う。
所用あって久しぶりに東京へ出た。
いつものように駅までは浜辺を横切って若宮大路を上る。小町通り横でそばを食べてから湘南新宿ライン〜東海道本線。新橋で降りて銀座アップルストアーの裏の辺りが青木画廊。
階段を上りはじめると大声で話すふたりの紳士。中国語なまりのほうはいかにも景気が良さそう。そこに「版画作家でSMのエロティックな個性的な絵を描く」女性が現れて、ひとりが紹介する段にさら大騒ぎになってしまった。
小心者で貧乏小倅のぼくは無料で入り口のゾンネンシュターンを楽しんだ。その向かい側の七戸の少女の絵は、背景が真っ赤っかですごかった。こんなに大胆な背景あったっけ?と、少女がどんなだったか忘れてしまった。
東京駅の方に歩きつつ有楽町線の地下に入って路線図を見ると、四谷三丁目は丸ノ内線で、丸ノ内線は和光の方に入り口があるらしい。歩いて戻る途中に山野楽器に寄ってしまった。仕方がないのでアコギの弦とピックを買ってトイレを借りた。
地下に入ってみると丸ノ内線はほぼ有楽町の下の方だった。まあまあ歩いたけれど地下というのは距離がつかみにくい。知らぬまに矢印に従ってたくさん歩かされているような気がしないでもない。
丸ノ内線で四谷三丁目。出ると夕陽が西の新宿の空を染めはじめていた。日暮れ時の東京の空気のむさ苦しさというのは格別。そうそうそうだった。そこからとぼとぼ住宅街に迷い込んでバブルな感じの建物の中に久住昌之の切り絵展を覗く。
切り絵はナイフで紙を切って描く。コントラストと絵の流れが主線となる。簡単なようで、これも見ているとひしひしと執念が感じられる。いつも陽気でペーソスな彼であるが、鬼の一面もあるのだと知らされた。
「水木しげる」の絵が一番好きだな。
「作家は今日は来ないの?」と受付の方に訪ねたら「今すれ違いで出て行かれました。今日は美学校があるので」…という話。久しぶりに彼に超近距離まで近づいたようだ。暑いので汗拭きようにジミヘンの作品を染め抜いた手ぬぐいを買った。
そこから新宿のゴールデン街まで歩く。幻のような暑さでどういう暑さなのか判断がつかない。ぐだぐだになりながら花園神社を通りがかると、悪戯好きな狐たちがテントを張って芝居をしていた。この頃アングラ栄養分が枯渇しているので見たい誘惑に駆られながらも通り過ぎてとぼとぼ「すみれの天窓」に到着。
この店では、人形を持って集まって着せ替えやら自慢やらして褒めそやしたり愛玩したりするのが大流行で、この日もひとつテーブルがお人形さんのお服で煌びやかなことになっていた。
不思議なことにどのかわいい「娘」も持ち主に似てくるのだな。持ち主の面影が宿りはじめると人形もだんだん生きてきて、それはきっと永遠に消えない灯火になって裏側からほんのり照らしはじめる。そういうもの?
ビール一杯いただいて、電車の中で頭痛がしはじめる。11時12分に最終バスなどずいぶん遅くまで走らせてくれているのを感謝しながら乗ってみたら、運賃がいつもの倍だった。まあタクシーよりはだいぶ安いか?
バスを降りてペットボトル飲料を買って飲みながら歩いて帰った。