鎌倉は、なんというか気位の高い街です。武士は食わねど高楊枝。高楊枝のたかは「高」で合っているのか?
コンビニはほとんど無いですね。ケーズ電気とか洋服の青山とか地方っぽいチェーンのお店も見かけませんでした。ヤマダ電気とかユニクロとか地方の象徴です。幹線道路沿いのホームセンターやラーメンチェーンに大都会東京は飲み込まれてしまっています。ありがたい便利商業。
ぼくのような地方出身者で充ち満ちている東京では、まったく抵抗が無い。雷門前にデニーズを見つけたときには、何かガラガラと音を立てていたのを聞いたような気分でした。下町の人は器量がでかいぜ!
鎌倉にはソレがない。デニーズはたしか二の鳥居の先にありました。が、かなり厳しくチェーン店文化を拒んでいる姿勢を感じます。文覚上人の加護でしょうか?
本日も物件を見に鎌倉へ。
先日、道が糞詰まりで「もーこんなとこダメ」とあきらめましたが、またなんとなく出かけてみました。今日は土曜なのにすいすいすらすら空いてました。台風一過のサーファーの午後の休みのひとときをついて鎌倉入り。例によって朝比奈から金沢街道を雪の下に下る。「雪の下」。なんて美しい地名なんでしょう!
道が空いていたせいで、土地の勢いがわかる。くねった道が歴史を帯びている。京都も大津から1号線を入っていくと、地勢というか歴史によって踏み固められたナニゴトかを感じますが、鎌倉もまた同じ。建物はもうでたらめで全然なってないのは京都も同じですが、いじりようのない地面のすり切れ具合に長い時間が馴染まされているようです。いいですよね、こういう土地。
今日見てきたのは建築中の物件。山すその崖の横。とんびが電柱のてっぺんに威張っている。電線にとまっているのは雀ではない可憐な小鳥。ミンミン蝉の合唱の隙間にヒグラシが独唱。
棟梁と弟子のふたりで気楽に工事をしている。地面に基礎ぐらいしかできていないのかと思ったら、骨組みが出来ていて部屋の感じが概ねわかった。地形が開けた方の風景がなかなか良い。360度里山に囲まれた隠れ里のような場所。
小さな車しか入れない細くて曲がりくねった道。駐車場はギリギリ一台。コインパーキングなんて見かけなかったから、友だちはどうやってくるんだろう?ゴミはどこまで捨てにかなきゃならないんだろう?そういえば自販機も見かけなかった。地物を扱っていそうな魚屋を一軒見かけた。
でも森から下りてくる空気が美味すぎる。花の匂いを含んでいるのか、湘南の海が香るのか?そして車の音が消えてどんな音も澄んで聞こえる。不便百に替えてもこの環境には捨てがたいものがある。こういう不便を選ぶ近隣の住民にはそれほどやっかいな人は居ないのではあるまいか?じゃるまいか?ごじゃるまいか?
希望的観測なり。
小道に車を出すと、裸で海から帰ってきたダンナさんなどとすれ違う。観光地にして海水浴場にして住宅地。
一気に鎌倉に気持ちが傾いた。帰りに鶴岡八幡宮にお参りした。ここの狛犬はなんというか覇気がある。表情が本気です。なついてない感じがとてもいい。