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折りからの暑さのせいでオタク臭の充満した真っ昼間の秋葉原のとある一角。右も左もオタクと妙に堅物めいた電気関係者の体臭で溢れている。
電柱にもたれて客が戻ってくるのを待っていると、角から長髪にサングラスの男が人の流れをものともせず、一直線にこちらめがけて道を渡ってくる。 「お?やるのか?みうらじゅん。」と、身構える間もなく男はオレを掠めるようにしてビルジングに入っていった。男が消えたであろうタイミングで振り返ると、流行の癒し系施設『世界唯一妹喫茶』とか『Maloomメイドカフェ』のビルジングである。一点の曇り無くまっすぐにメイド喫茶へ向かう四十代のみうらじゅん、のっけからたいした奴を見かけちまったもんだ。 雲助タクシー、今日の客は大阪のマッド・サイエンティストUTSUNOMIAだ。最先端電子雑貨店「秋月電子」から戻ってくると、粗末な紙袋からレーザー素子を取りだして、「これは件のレーザーポインタ事件以来、大阪の日本橋でも、秋葉原でも店頭から消えて入手が難しかったんだ。これでやっとアレが作れる、ふふふふ」何が作れるか?超強力なスモークマシン以上のものはオレには想像できないが、それ以上のモノだということは確かだ。 次の日曜、映画美学校のオープンキャンバスで、「オーメン」3部作の音楽の旋律から、映画のストーリーから失われてしまった、或いは隠されてしまっている本来の最終章を読み解く試みをするようだ。 まったく21世紀になっても怪しい輩は元気があるぜ。 いつもの黒塗りベントレーを神田が休暇で里帰りなんぞにつかっちまってるもんだから、急用で仕事を受けたオレがポンコツのアルファロメオでUTSUNOMIA氏を渋谷まで送ンなキャならねえ。このアルファロメオってやつはクーラーを入れると寒いし、切ると暑い。どうにもうまい調整が効かネエから、窓併用で走りながらスイッチをいじりたおさなくちゃならねえ。まったく厄介な車だが、エンジンを回したときのクゥワァ〜〜〜という何ともいい感じは癖になる。まあ、廻したからといってそれほどスピードが出るわけじゃない。 内堀通りから新宿通り。四谷で信濃町方向に折れ、神宮外苑の森を抜ける。気をつけるのはこの辺りの藪に棲む蛾の一種。その蛾の銀鱗は、場末の神社に出入りの薬子(くすし)が陳腐な幻覚材に使う。 陽が傾いて森の逆光が無数の光の針となって車内を突き刺す。 出た。窓の前を横切るようにハラハラと飛ぶ大型の蛾だ。神宮外苑の国立競技場など大きなカーブを猛烈に加速する。窓の前を優雅にひらひら舞っている、憎ったらしい蛾の野郎。 青年館を曲がり青山墓地のトンネルを潜る頃には振り払ったように思えた。油断してUTSUNOMIA氏が窓を開けた途端、蛾はどこからかふらりと車内に入ってきて、ひとまわり銀の粉をまいて、また外に消えた。 客を宮益公園前のクロサワ楽器で降ろした。 案の定、さっきの蛾の羽の粉が効いてきた。晩夏に向かう西日がやけに眩しい。戯れ用の幻覚眼鏡のように事物が二重に重ね合わさり透明になったり、虹色を発光したりしはじめた。ヨイヨイの酩酊状態だ。オレとしたことがだらしねえ。 訳も分からず車を降りてパンテオンの巨大工事現場の前をオロオロ歩き、暑さと太陽から逃げるために地下のバーに逃げ込んだ。バーかと思ったら場末の居酒屋だ。 急な階段を下り戸を開けるといきなり三人席のカウンター。ふたり分はもう背を見せて盛り上がっている。 しかたなく空いた席に座ると「おー、運転手くん!」と隣から声が掛かって驚いた。見覚え無いが昔乗せた客か、細い足首にコンバースのバスケットシューズ。視界がグラグラしながら訳も分からず挨拶を交わし、世間話で生ビールを一杯。「椿」と紹介されたロリータがコンバース紳士の横で焼きうどんを食べていたように見えたのは幻覚か? そのロリータにオレを紹介する。「こちらはアンダーグラウンド・ハイウエイをひた走る雲助のつむじ君」と正体を知っている。こう言われてしまうとオレはこの人好きのする笑顔の男を思い出せないまま、知っているふうに装うしかなかった。「へえへえ、それで、旦那はどちらさんで?」などと今さら言えるもんかい。もしや異界の大旦那だったら八幡別当からど叱られちまう。 「ここ、少し上がって来ちゃったんだよぉー」と、でこの両側の髪の生え際が上がってきたのを指差して屈託無く笑う。 「思い切ってリーゼントにしちゃったらいいんじゃないッすかぁ?」と調子を合わせるオレ。 「髪が前向きに生えているからバックにならないんだよなぁ〜」みんなで大笑い。 何がおかしいのか、不思議におかしい。幻覚のせいか、この妙な人物が術を使っているのか? 「これから青い部屋で面白い催しがあるから」と、誘われるままに表に出ると、すでに陽は暮れて夜の渋谷。大型トラックのクラクションが見境無く行き交う人を脅かす。まだ酩酊が取れないので頭の中で反響し続けるのが辛い。 六本木通りと青山通りがY字に分岐するところを下から見ると中州の風景を思い出す。「ポーの一族」の「だれが殺したクックロビン」というエピソード。タイトルは忘れたが、ギムナジウムにやって来たバンパネラの捜しものの話。 それは置いておいて夜目にも眩しい舶来の蛾が二匹、ふわふわと前を歩く。蛾というか金子国義の絵から抜けだしてきた人形。綿菓子のような金髪に、クラウンの衣装の柄のふくらんだスカートのひとり。黒髪にエキゾチックななメイド服、見つめられると吸い取られそうなグレーの瞳のひとり。どこかの古い洋館の標本箱でずっと眠っていて、さっき目が醒めたばかりのような、すこしだるい感じの透明感がまとわりついている。 彼女らも「青い部屋」の客だった。後に続いて入室するときに見た、メイド人形の千円札を持つ白い手が、艶めかしく暗がりに浮かぶ。(三原ミツカズの漫画もかくや?) 中に入るとバスケットシューズの若い紳士は人に囲まれる。「青い部屋」はお洒落をした花のようなロリータファッションの娘たちがいっぱい。どういうことかわからず椿に聞くと、彼こそ、少年少女戯界の架空舞台のプラトニック遊技を描く七戸優という画家で、耽美退廃の乙女や人形作家たちから支持を得ている。のだそうだ。 「おー、何だこの悪趣味世界。面白すぎるぜぇ。」と、ひとり勝手に感嘆していると「これからだよ、面白いのは。」と、耳元で囁かれた。画家先生の声に聞こえたが、彼はあちらの席で談笑している。どうもあの先生は怪しい。 未だ幻覚から醒めぬのか、ジンジャエールを頼むが、ウィルキンソンでなくては覚醒効果は望めない。 舞台には一台のピアノ。出し物がひとつ、ふたつ終わり、みっつめに黒色すみれ。 舞台横の楽屋の灯りが大きくなってふたりが出てくる。 「お人形さん?」 おかっぱに花を飾った白いドレスの可愛い少女。小学生のように開いた口から、腐乱する直前の薔薇の花びらが零れ出てくる。毒色のビロードや妖精、盗賊の夜会や紅い約束の世界。七色のスポットライトと少女のかわいい革靴の踊る音。目の前に飛び出てくる怪しい舞踏会の光景。 ピアノを弾きながら歌うyukaの喉のやわらかさ。顎の下の膨らみを撫でてみたい衝動にかられる。ジル・ド・レが後ろから少年合唱隊員を抱きかかえて、ナイフを突き立てたあの柔らかい場所だ。 「いや、あの忌々しいジル・ド・レなんぞ、なぜ今思い出す? それにしてもバイオリンの彼女」 まるであやつりのからくり人形。 胸の扉を開けるといくつかの歯車と滑車が不揃いに並んでいて、リズミカルに連動しながら停止と活動を繰り返しているに違いない。バイオリンを弾く動きも、運指は驚くべき緻密さで流れるのに、弓の方はごく機械的にクイックだ。時にジンタの様に勇ましく、時に微かなささやきのような懐かしい旋律。 横顔の頬の膨らみから、初めての口紅に慣れないかのように突き出ている下唇。伏せた瞼がひとたび開かれると、だれもがその視線を独占したくなる妖しさ。誰をも見ていないようで、見るのもの全てに開放されている大きな瞳は、マダム・エドワルダそのものだ。目を閉じるたびに少女に隠れ、開くたび娼婦へと変幻自在のあやかし。唇の端を折り曲げて薄い笑いを演出すると、追っかけの男どもはもうメロメロ。 「あぶないあぶない、正体を現せ。見破ってやる、このもののけめ…」 迎合と突き放し、揺さぶりと魅惑の魔術の源は、ピアノを弾きながら歌うyukaなのか? 観客など一顧だにせず歌い続ける、くぐつ使いの禁欲のロリータか。客を魅了し続けるバイオリンのsachiと対照的に音楽に向き合うyuka。解読しようとするオレの瞼には、蛾の幻覚でひとりがふたりに見えてるのかふたりがひとりなのか、どうなってるんだかわからない。これは舞台袖に置かれた薔薇の花の幻惑か。この空間に集まった架空少女たちの催淫作用なのか。 またバイオリンのsachiの視線がサーチライトのように廻ってくる。マイクのないところで唇が開いている。 「あ、あいつ!」 sachiの口ずさむ歌が聞こえた瞬間に氷解する謎。少女にして娼婦を演じるバイオリンの姫、sachiこそが人形遣いにして、人間人形。ピアノのyukaは、歌劇を口ずさみつつsachiを操るかに見えて、実は彼女のバイオリンの軌跡に操られる歌劇のからくりだったのだ。 「それは深読みというものだよ」と、また耳元で囁く声。 「む?」と画家を見ると、こちらのことなど意に介さずニコニコしながら舞台を見ている。 全ての演奏が終わり「黒色すみれ」の魔術から開放される。すべて明るく楽しい暗黒夜会だった。オレの下らぬ解釈は、ただ蛾の幻惑によって渦巻いた単なる妄想だった、と知らされる瞬間だ。 舞台を終えた少女達は、サロンに降りて世間話やファンとの挨拶に花を咲かせる普通の乙女だ。オレは安堵したような残念だったような複雑な気分だった。 そろそろ戻らなければ親方に叱られる。まだ少し頭はふらつくが運転に差し障るほどでも無かろう。画家と椿が挨拶を済ませて外に出るのの後に従った。 出口近くのバー・カウンターで、グラスを手にしているyukaの背中に、sachiの手が入っているように見えたのは、気のせいか? もう、そんなことはどうでもイイや。オレは黒色すみれに惚れちゃったなぁ。
by magari_tumuzi
| 2006-08-19 17:12
| 美 人
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Comments(4)
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7doors
at 2006-08-19 19:10
x
昨夜の出来事は何だったんだろう。
「蛾の幻惑によって渦巻いた単なる妄想」 そう言われてみればそんな気にもなるから不思議だ。 それにしても、あの絵描き。ありゃぁイカサマ師か、そうじゃなきゃ「まぼろし」だな。 黒色すみれの二人に関しては、俺も何かあると睨んでる。 今度あがた男爵に検証していただこう。
0
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magari_tumuzi at 2006-08-19 22:09
あぁ、男爵ならきっと真実の姿がなにかをご存知なはず…。
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椿
at 2006-08-20 23:47
x
おとといは楽しゅうございました。
次回は彼女たちの喫茶店「すみれの天窓」でお会いしましょう。
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magari_tumuzi at 2006-08-21 00:24
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