米原は夢のキャンプ場というのではなくて、キャンプ場自体が夢を見るとしたらこんな夢を見るのではないか?そういうところだった。6時30分頃起床。テントから出ると遠く雲が訪ねてきていた。
おはよー、おはよー。キラキラ。ピカピカ。
海は小さくさざ波を遊ばせていて、散歩がてら貝を拾う人をからかっている。すでに日射しが強烈。ぼくもなんとなく散歩。テントの上でカラスがやかましい。木からポタポタと落ちてくるもの発見。フライシート(テントを覆う屋根。強力な雨の時はこれがないと不安。)に苔色の嘔吐物状のジェル。拭い取ろうとするが、粘着していて丸まるばかりで取れない。なんだこれ?これのせいでこの場所が空いていたのかも。
カラスの時間が終わると、葉の色と同じ緑の小鳥が群れてきた。こちらもチュンチュンギャアギャアうるさい。ドングリのような木の実や葉っぱを咀嚼しては落としている。慌ててモグモグ食べるので、クッキーモンスターのようにこぼしちゃうんだろうか?
9時過ぎから泳ぐ。まだ潮が満ちてるのであまり沖へは行かず。なが〜〜いナマコが身体を波に漂わせるのがすごくこわい。しばらく休憩していると海面がどんどん引いてゆく。
シュノーケルと水中ハウジングを奮発したIXY-Dを用意して、少し沖まで行くと水色やピンクの珊瑚がいっぱい。そこに青、黄、赤、その他いろいろの小さな魚が群がっている。縄張りに入った途端に威嚇してくる小さな赤オレンジのヤツが頼もしい。楽しい世界をひとりで堪能。30分を2回ほど遊ぶ。
シャワーでさっぱりしてゴロゴロ。周囲からいい匂いがしてきた。昼飯の時間。バイクで少し出掛けてゴーヤチャンプル定食。那覇の2倍1000円。トーフとなぜかカップヌードルを買って帰る。実際ぼくは食べ物に頓着がないので、ここに来たらアレを食べようとか、もう少し調べてくるべきだったのかも知れないね。けれどもこの時はそんなことは毛頭考えない。お米はたくさん持ってきているから、ちょっとしたおかずだけあればお腹のほうは大丈夫。
灼熱の午後。ヨロヨロと日光の下を道路脇の売店まで歩き、かき氷を2杯。冷たいものは持続性が大事である。常にかき氷は2杯以上食べる覚悟でなければ食うべからず。
XLの青年が、一緒に来ていた女の子をバイトに送り出していた。テントに戻ると相変わらず小鳥が咀嚼物の攻撃を続けている。テントの屋根がもうペタペタ。良い場所だったがちょっとだけ横に引っ越すことにした。土砂降りのような汗だく。
樹木に隠れた帯のように長いキャンプ場。木陰の中は午後の静かさばかり。ひとりガサガサして申し訳ない。少し満ち始めた海で汗を流す。水が熱い。お湯の部分と、それより少し熱いのが層になっていて、表面を冷たい水が滑ってくる。再び珊瑚の世界を楽しんだ。
テントに戻ってゴロゴロ。横に広く空いたスペースを目指して地元の家族がやってきた。めいっぱいのブルーシートを広げると挨拶に来た。
「キャンプしていいすか?」
悪いなどと言えるわけがないですよね。「うん。」
お〜〜、来るわ来るわ、五家族ぐらい。子供から犬から。ささやかなこっそりキャンプの横に盆踊りもかくやと云うようなぞんざいなテントに賑やか大家族。
今日もものすごい夕日が沈むのを見た。あんまり騒々しいので浜辺でこれを書いている。沖縄の夕日はなかなか沈まずにいつまでも水平線の少し上でじりじりとタイミングを計っている。
「花火はたくさん買ってきたか?」と大人が聞く声が聞こえて、ぼくはまた怯えるのだった。明日はどこか離島へでも行こうかな。テントに戻るとどうだい、うちのテントに番犬が?
「ラッキー、ラッキー。」と呼ぶので、朝がた海で遊んでいた黒犬かと思ったら、白犬だった。オレはアンラッキーだよ、ラッキー。