テントの中で、夜半よりの風と蒸し暑さになかなか寝つけずにいた。足を蚊に刺されて痒くて仕方がない。最悪のイライラ状態。雨が強く降ったりやんだりを繰り返す。遠い雷光でテントが古い蛍光灯のように光ったりする恐さ。
ズドドドドォ!と雷。風がテントを揺さぶる。裏の植物がそよいで、テントにガサ、ガサ、と触れる音が、草を踏んで歩く音に似ていて、その度に人が来たのかとびくびくする。気絶するように幾度か眠り、いつの間にか5時。
朝焼けが雲の穴からぽっかり見えたが、雷の船団は間隔を開けながら連続してやってくる。
7時半頃、ここを早く立ち去ろうと食器を洗い始めると雨。カバンをバイクに置きに行くと雨。雨の度にテントに避難。ゴゴゴゴン!と大きな雷鳴で、いよいよテントの中にいられなくなり、茂みの中にビニールを持って駆け込んだ。テントの骨はアルミニウムで出来ているから危険だと思ったんです。水平線から雲の戦隊が列をなしてくる。すごい勢いで雨が落ちてきて、ひかると同時に空を割ったような音が響きわたる。藪の茂みの下でビニールをかざしても風でバサついてずぶ濡れ。ゴアテックスの帽子で頭だけ濡れなかった。ゴアテックスはエライ。
一息ついてから慌てて濡れたテントやら何やらをしまい込んで、逃げるように那覇に向かった。ミーバルビーチの桟橋では、暢気な人たちを乗せたグラスボートが沖に向けて出て行くところだった。ぼくは死を覚悟した一瞬があったなぁ〜。いきなり沖縄の厳しい風土の実力を垣間見させられました。
那覇11時30分。ANEX EKKA HOTELに宿泊を訊ねると「シングル4800円が空くかも知れない」ので3時すぎに連絡をくれと言われた。そのまま埠頭に行ってバイクを預けた。石垣島までバイクのみ飛竜丸で運搬、片道14000円。金沢工業大学の三回生というカブの青年とあれこれ話す。
タクシーを拾って国際通りへ戻る。シーサーを買おうと思ってみやげ物屋を見て歩いたが、名前の入った作家ものは面白くない。屋根の上にあるようなプリミティブな雰囲気を残したシーサーがいいのにね。
ホテルに連絡するとダブルなら空きが出たという、割高になったがそれで泊まることにした。ついでに石垣島からの帰りの18〜9日の連泊を予約して置いた。
夕方から「猿の惑星」ティム・バートン版リメイクを観に行った。国際通りの中程にある今はもう無いクラシックな様式の映画館。なんだかティム・バートンの映画はどれも悲しいお祭りの映画だ。この映画の人と猿も悲しかった。
帰りには、また「一万人エイサー踊り」の関連イベントをやっていたので、しばらく見てホテルに戻った。Gパンは洗濯したが、Tシャツがすでに臭う。毎日さんぴん茶ばかり飲んでいる。