一番末っ子で、一番の小柄ではあるけれど、うちでは最も重いユーリことユリ坊。
電線を噛むのが癖で、布も囓りまくる。羽毛の膝掛けも穴だらけで、知らずにふわっとやると羽が舞い散って悲惨。(悲惨と飛散をかけた。ウソ。)うちにある座布団クッションはすべてどこか囓られて貧乏くさい穴が空いている。靴下は脱いだ途端餌食になる。そのために家計は逼迫するので靴下、パーカー、スエット類は脱いだらすぐに所定の場所に隠さなければならない。
昨日、オークションで発見。OMC-1。
景気の良いときなら多分200万円ぐらいには届いたのではなかろうか?今買える人はかなりお得だと思う。
本当にこれは歴史的なバイクで、年に一回の日本のシングルレースで'85、'86と2連覇しているすごいやつなのだ。まあといってもバイクがいくら速くてもライダーがほどほどではチャンピオンにはなれない。乗っかる人がかな〜り重要なのだ。このレーサーには筑波サーキットの主と呼ばれる仲川昇が乗っていたから実力を存分に発揮できた。
当時の雑誌「エキサイティングバイク」。
真ん中右の写真、チームイクザワのホンダのレーサーは600ccで、後にOMC-1を借りてレースに出たアランカスカート(記者でレーシングライダー)は菅生サーキットで100ccの排気量差に「おいてけぼりをくった」と書いている。馬力では差があったに違いない。
よく見るとシートカウルがカットしてあるのか形状が違う。
マフラーも磨いたのか焼けが少ないように見える。
別冊モーターサイクリストによる詳細によると、
リヤサスペンションはフルフローターのドカルボンタイプ。スプロケットは前19、後39。フロントフォークは'84年式TZ250。マフラーはクラフトマン製。38mmケイヒンCRキャブレター。87mmのベノリア・ピストン、ノーマルクランクで排気量は499cc圧縮比12.5だが、バルブとの接触を避けて少々削られている。メガサイクル製カムは一度均等に肉盛りをして再研磨して1°刻みの正確なタイミング出しをしてある。バルブ周りはすべてノーマル。プラグ周辺の盛り上がりを削り取ってスムーズな形状にしてある。最大の秘密はオレンジブルバードのオーナー藤井氏の削ったポート形状にあるらしい。メカニックは林カスタムが請け負っていた。
記者のマルコムムーアによると「パワーはあるが振動がすごい」とある。「特に5800~6200でグリップが膨らむほどの」と書いてある。後のカスカートの記事でも「6000以下ではそれ程の振動は感じられないもののそれを越えると激しい振動が始まるのだ」
とある。
オレブルからOMC-1を借りたアランカスカートさん。
菅生のレース「サウンドオブシングル」ではドカルボン式のサスユニットが壊れてリタイヤ。残念そうだったが、別のレースではHONDAのCB750、3台を押さえて、いにしえの英国製バイク、シーリーG50(単気筒500cc)で優勝している。速いライダーは速い。
エライヤッチャ!
彼はモーターサイクルジャーナリストでありながらレーシングライダーでもあり、ドカティのスーパーモト(だったかな?)単気筒でヨーロッパ中を転戦して勝ちまくってた。背中にカタカナで「カスカート」と書いたつなぎを着ている姿を、一度だけ筑波で見かけたことがある。
などなど。ぼくもSRに乗っていて6000回転とか回そうとは思わない。お尻が白蝋病になりかねない。
ハヤシカスタムには一度だけ行ったことがある。こちらはこのバイクを整備していた人だと知っているので平身低頭でのぞんだのだが、それよりさらに上を行く謙虚さと人当たりの柔らかさで、もうホントに恐縮してしまった。すごい人は謙虚なものだよねぇ。
そしてSRXエンジンを積んだOMC-X。これもオレンジブルバード製作のバトルオブザツインSEクラス優勝マシン。
SRエンジンを見せるハーフカウルのOMC-1も良いけれど、これもカッコいいナ。
オークションで買われていったバイクも、再びレースに使われるのだと思うけれど、カッコいいステッカーでセンス良く飾ってほしいものだ。賑やかなオレブル時代に比べて、素のカラーのままだとちょっと淋しい感じがするよねぇ。
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