岩木山の麓、桜林公園キャンプ場で三泊過ごした夏の朝。鳥のさえずりやテントを眩しくノックする朝日に目が覚める。外に出ると今日も暑くなるという予兆でクラクラする。夏が公園中で賑わっている。
三晩ここで寝て、「百沢」というひとつの感慨めいたコンセプトが芽生えてきた。
「百沢」というのはこのキャンプからほど近くのさびれた温泉で、行ってみると地元専用の銭湯みたいなところ。皆黙々と身体を洗い疲れを癒している。当たり前の光景。「どこからいらしたんですか?」「へぇ〜そんな遠くから」「おつかれでしょう?」などという愛嬌と愛想のある受け答えはなにもなく、たまたま一緒になった近所の人同士がひとことふたこと、こちらには理解できない方言でかわすくらいの静かな湯浴み場。
夜になると本当に暗い。
エナメルの黒のように澄んだ空気が満ちてくる。温泉入り口辺りの蛍光灯の緑の光が草臥れた鉄筋の建物をよりオンボロに演出している。道路脇の茂みの中にはせせらぎが隠れていて、流れる音を立てているからそれとわかる。その暗がりの草の露。その草むらの根元に棲むものたちの世界を思う。虫がキラキラと鳴いている。地中にまで浸みこむ闇から逃れるようにして地上に這い出て見上げる葉の隙間に星空がのぞく。
そんな世界。そんな世界の隣で人は祈り、水は流れ、木は踊り、地中で火が燃える。
「百沢」とはそんな世界。どこでもあるしそこにしかないような。
小泉八雲は「無量無尽」と云う言葉が気に入っていたのか頻繁につかったが、その無量無尽をたったひとつの雫に返すような世界。
そういう心象が湧いて、朝から勝手になにやら胸の中がキヤキヤしていた。

とかなんとか貧乏なバイク乗りの自分の中は勝手に壮大なことになっていたが、ここから先写真もメモも先細りでほとんど残っていない。なのでブログの内容もサキボソル予定!
しかしいままで書き過ぎ?長すぎ?
9:30 桜林公園キャンプ発 22018

アレ?なんで自分家の写真がこんな途中に?と思ったら違って、青森駅前の商店だった。
13:00棟方志功記念館 22098(182km/7.79L給油)
版画というのか板画というのか、棟方志功「釈迦十大弟子」を観に行った。よかった!
後にこれが大好きな奈良興福寺の「乾漆十大弟子立像」からインスピレーションを受けつつ、それを観ずに作ったということを知った。すごいな棟方志功。
青森から南方向、八甲田方面へ向かう。
途中、見晴らしのいいドライブインのようなところで休憩中、V-MAX乗りの青年と少し話した。
青森ねぶたの間中太鼓を叩いていた。けれども明日上京し、ホテルで「ねぶたショー」の太鼓を叩くことになっているからバイクも乗り納め、という話だった。いろいろと手の入った愛車も売る段取りになっていて、実際すごくさびしそうだった。そしてどんより雲のかかった八甲田のワインディング道路にV4エンジンの音を響かせて消えていった。
16:00酸ヶ湯キャンプ場 22137
酸ヶ湯キャンプ場というのが酸ヶ湯温泉の向かいにあり、降り始めた雨の中、濡れた草の上にテントを張った。
それからちょっと先にある地獄沼を散策。
まんじゅうふかしという、お尻を温める、温泉の上に木のベンチを置いたようなところでゴロゴロ休憩。
自分の写真が無くても他人の情報で間に合ってしまうのが恐ろしいな。
下はN氏からの写真。酸ヶ湯温泉に立ち寄り入浴。