コッヘル。キャンプ用の鍋、食器、カップ、フライパン?その他あれこれに使える金物。ペラペラに薄くのばした金属でできている。
登山の方は背負って歩かねばならないので軽いものを必要最低限持っていくだろう。ひとつ多いだけでかさばったり重くなったりするからそれはもうギリギリの選択。
オートキャンプの人はなんであれ車に積めるものならどさ〜っとキャリーに詰めてしまえばオーケー。燻製用のドラム缶もバーベキュー用のテーブルも持って行く。照明も「街か?」みたいなやつを持ってくる。ワインやらビールやらで激重のクーラーボックスも楽勝だし洒落たワイングラスも必須かもしれない。昔の軍艦のようなラジカセもなんなら漬け物石も持って動ける。
我々、というかぼく?私のようにバイクで野宿なりキャンプをするという場合は、山行きのギリギリな感じとも、オートキャンプの飽食な感じとも違う実に中途半端な用意になる。なにしろリゾートホテルや旅館代を節約するためのけちけち貧乏キャンプなので、まず食事はとにかく質素で楽しくなくてもよい感じのものに落ち着く。なので食器は必須ではないが、荷台にくくりつけるバッグに入れられるものだけ持って行く。重さはそれほど考えなくても大丈夫、金塊でも50本ぐらいは運べると思う、バッグに入れば。
最近はバイク便のような箱をくくりつけているのをよく見るけど、あれは雨が降っても困らないからちょっと羨ましいが、なんとなくスマートさに欠けるので自分がやるのは躊躇われる。
BMWにはパニアバッグという大変便利なトランクシステムがあって、ユーラシア大陸横断やアフリカ縦断ぐらいの装備を積んでいける。
ユアン・マクレガーのツーリングではモンゴルあたりで荷台のフレームが折れちゃってたけど。
沖縄のキャンプでは、ステンレスのボール(野菜をその中で洗ったりするようなヤツ)をひとつだけ持ってきていたM君。なぜ数多ある日用の食器類からボールを選んだのか理解できないが、まあとにかく彼はそれひとつでひと月くらい沖縄石垣島西表島をウロウロしていた。後にMr.ボールという旅ネームで呼ばれるようになった、と伝え聞いた。
ぼくのコッヘルは、最初に買ったステンレスのと次に買ったアルミのセットと、ちょっと前に買ったチタンのセットが混ざり混ざっている。旅用グッズにあるようなこだわりとか美学はなにもない。たいていこの中のふたつか三つしかつかわないけれども、ひとつにまとめてあればかさばらないのでいつもこれだけ荷物に詰め込んでいる。