二日連続で女性の出てくる夢を見た。
自転車で駅のターミナルをうろうろしていた。Eと待ち合わせていたのかも知れない。券売機とか緑の窓口のガラス、黄緑色の線。バスターミナルとロータリー。どこにでもあるようなJRの駅。
自転車は荷台のしっかりしたおかあさん用のようなやつ。紺か灰色の地味な暗い色。誰かにいたずらされたのか後ろのフェンダーがまくれ上がっていて触ると手を切りそうなので注意しなければいけないのだ。
Eが来て、駅を人の流れを逆らうように自転車を引いて歩く。「ちょっとそこで買い物」と言ってガラスの扉の中に入って座った。机に置いてあった昔のブリキの看板を四つに折ったこれも縁を触ると手を痛めそうな感じのやつと、なんだかやはりブリキの菓子箱の空き缶(錆びかけ)を買うことにした。
すると彼女がタイヤをテーブルに載せて「これも買ったら、スタッドレスタイヤ」と言う。
タイヤのトレッドがかなりすり減って白く粉を吹いている。パターンは夏タイヤ。ぼくの車にはまりそうにない太くてでかいサイズだった。しばらく情けない気持ちになって悩んだが買うことにした。
表に出るとちょうど妻が通りかかった。あたふたしながら「自分は自転車だから先に家に帰ってる」とかなんとか必死で言ってごまかしたら買い物しに去っていった。Eはそのあと店から出てきたので、両者出会わずにすんだ。ラッキー。
自転車に看板の折りたたんだのと四角いブリキの箱とEを乗せて走った。なにしろ妻より早く帰らねば。ビュンビュン漕ぐ。畑の中の一本道。緑の草が残る未舗装の道。漕いで漕いで大きな断層のような凹みもなんのその。遠くにバイパスが見える。そこを妻が歩いているのではないかと気が気ではない。
ひと駅分ぐらいまっすぐ走って細かい迷路の住宅地にたどり着いた。板塀や波打ちトタンの壁のさびさび腐りかけ倒れかけのような家ばかりが密集し群れなしている。自転車を停めると大慌てで荷物を下ろした。「あれれタイヤがないぞ」
倒れそうな自転車を支えながら、とりあえず物置の戸を開けたが、前カゴにいた(?)子猫が逃げそうになったのではっとして捕まえて、自転車が倒れないように片手で家の引き戸の鍵を開けて玄関に放り込んだ。まんまるの人形みたいなちっこい猫。
「あれれ猫連れてったかな?タイヤはどこに置いてきたかな?」
それから荷物を物置につつがなく入れた。「さてじゃあ送っていくよ」とEに言った。
Eは荷台に座っている。来た道を戻ると妻に出くわしそうなので、クランクのように折れ曲がった狭い露地を先へ行くとバスが斜めに突っ込んで放置されている。「誰だこんな処にバスを停めたのは!」露地を行こうとして出られなくなったのか?見ると自転車がギリギリ通れるぐらいの隙間が空いている。そして急に泥濘(ぬかるみ)はじめた。やけにハンドルが取られると思ったらタイヤが無くて鉄の車輪だけだった。おまけにスポークも何本かはずれている。
「あれ〜?猫連れてったかな?タイヤはどこに置いてきたかな?」
「ううう〜〜これでは〜〜」と思ったがしかし妙にすいすい進む。ふたり乗りで泥濘をすいすい進んでバイパスに出て、スポーツカーのようなスピードで駅までEを送って行ったのだった。めでたしめでたし。
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Nが梨を剥いてくれた。
だが、梨には薄皮があると言うので、皮を剥いてもらった梨をぼくは手に取り爪で摘むようにして薄皮を剥いた。引っかけて端っこをつまみ上げるようにするとペリリリリと簡単に剥ける。そしてNに渡すのだった。