まだだろうと油断していたら、すでに一本伸びていた山百合の茎。
今年植えた鹿の子百合の場所ばかりチェックしていてちっとも芽を出さないので、まだだろうと思っていた。シャガの満開(こやつらはいつまで満開なんだろう?いつまでもいつまでも蕾が出てくる)の花や葉に紛れて知らぬ間にピョ〜と背を高くしていた。
去年は二本の茎から四つ花をつけてくれたが、今年は一本かな?毎年領地を拡大していくのだろうと予想していたのでちょっと寂しい。
昨日は久しぶりに日本のテレビ局の作った放送を見て感心した。
NHKハイビジョンスペシャル「三代友達~大地の祈り 黒川能の絆~」。NHKの農村がらみの伝統やしきたりを伝えていく番組は面白い。人がいいから。顔がいい。たいていの人たちが逃げ出した場所にとどまっている人たちの話。
出雲にいる頃小泉八雲は、彼を尊敬する若い日本人が公務員の試験に受かって上京するのを見送りに行った折りに「日本の古い因習やしきたりにしばられる生活を無くすように頑張ってきます。」というようなことを言われがっかりしたという。
今の日本は、概ねその若い役人の思うような社会になった。ハイホー。
都会ではたいそうな儀式はたいてい簡略化され人から霊性が剥離してしまった。東北や九州の貧しい田舎にはまだ残っている。けれども原発が補助金と一緒に降り立つと薄い膜のようないにしえの伝えはあっという間に吹き飛んでしまう。灰色の枯れ果てた板塀の漁師小屋は消えて、東京と同じあつらえのコンビニやタラソテラピーが建つ。
端から見たら、自分は伝統から離れた勝手で自由な生活を営んでおきながら、なんだかそういう古い日本にたいしていとおしみを感じているなんて云うのは、ずいぶん不遜な言いぐさに見えるだろうな。やれやれ。