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![]() ![]() ついに来た。みたいな気持ちでドキドキワクワク。 早く奥へ進みたい。どんどん歩いていっぱい見たい。という思いと同時に、すぐ見てしまってはもったいない、どれもこれもゆっくりと味わい、観察してしっかり頭の中と心に印象づけるのだ。ふたつの気持ちで身体が硬直しつつ歩いていく。 最初に狛犬のごときスフィンクス。赤い文字が彫られているだけで「おお〜〜」 まったく読めないけど、ひとりでキヤキヤと静かに大騒ぎ。 ![]() ![]() 花瓶の頭の男、女神? 「花瓶頭」と考えると怪物だけれども、彫像の上に植物を植えられるようにしただけなのかも。 ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマと観光してきて、どこで見る彫像も完璧で、力に漲り栄光に胸を張る輝かしい強さを持っていた。見る度に威圧されて少々疲れていたが、此処におわす怪物たちはまったく違う趣だった。 ![]() 寄るとこんな感じ。歯がすきっパで間が抜けている。脅かそうとしているのか呆れているのか、楽しくて笑えてくる。こんなに楽しい公園に誰もいないなんてどういう事なんだろう? ![]() コイツは少しゾクゾクした。股裂きの巨人。 ![]() 「世界亀」と名付けた象。世界を背中に乗せて移動するというような妄想。実際背中にあるのは女神像らしい。本によるとかつてはトランペットを吹く姿で、建造当時は水力を利用して音が鳴っていたらしい。笛を吹く女神像はすぐに東大寺の音声菩薩に結びついてしまう。 ![]() 此処にある彫像は、見るものを脅かし帰れと叫んでいる。秘密のユートピアを侵略してはならじと精一杯の虚勢を張っている。守るべき楽園のために通り一遍の威嚇を試みてはいるけれども、実は引っ込み思案のブランコ族のような怪獣に思えてくる。鉛筆の芯を折っただけで泣き出してしまいそうな心の優しさを感じる。 というのはただのぼくの思い込みかも知れないけれども、この公園にいると安らいでくる。 怪奇や驚愕があると、すぐにおどろおどろしい方向付けをするゴシック好きの強引な方もいるが、ここはやさしさとノスタルジアに満ちたユートピアを夢想する空間なのだと思う。 ![]()
あっと驚くような不思議に憧れて、
世界をさまよって歩く諸君よ、 ここへ来るがいい、恐ろしい顔や、 象や獅子や熊や鬼やドラゴンに会えるぞ。 A.P.ド.マンディアルグ『ボマルツォの怪物』(澁澤龍彦訳) ![]() ピエール・ド・マンディアルグの「ボマルツォの怪物」で有名な、というよりは澁澤龍彦「ヨーロッパの乳房」で有名なボマルツォ。日本中の澁澤ファンがみんなそうであるように、そここそぼくの今回もっとも行きたい場所だった。 本には「ローマの北」ぐらいにしか書いてなかったと思う。ヴィテルボ近郊とも書いてあったかな?今手元にないのでわからない。イタリア旅行の計画を立てるときに、地図で必死に探したが小さい村なのかほとんど出てない。執念でただ一枚載っている地図を見つけ赤い丸印をつけた。 明日やっと念願のその土地への旅なのだが、妻に行こうというと「行かない」のひと言だった。 あにはからんや。 * * * * * * * * * * * * ![]() ぐずぐずの雨がやんでピカピカの朝、ひとりで旅立った。ローマの濡れた石畳みがどれも喜んでいるように見えて眩しかった。早足でどこをどう歩いたかローマ駅について、オルテ(Orte)まで急行で向かった。 ![]() オルテ、思った通り小さな駅。出勤の人たちとすれ違いながら駅を出て、ためらうことなくタクシを頼んだ。イタリア語も英語もダメなのでメモに「Parco dei Bomarzo」と書いておいたのを見せた。 ブィ〜〜ン、走り出したはいいけれども、地図の縮尺から距離とかまったくつかめてなかったから、どれだけ走るのか、どれだけ運賃がかかるのか、ハラハラもんだった。ドキドキ。 そして車はアウストラーダを疾走し、田舎の道を小高い山向けて走った。 山の上に石垣を積んだ城壁都市ボマルツォ、そこへ入るかと思ったら中腹で分かれる道を下に降りていった。観光バスが何台も停まれるような広い駐車場でタクシを下りて料金を払った。案外安かったと思うけれども覚えてない。 帰りもよくわからないので「戻ってくるまで待っていてくれ」と身ぶり手ぶりで説明しわかってもらった。と思ったら、公演の受け付けで入場料を払っているうちに帰って行ってしまった。 あらららら。まあいいや。ポカポカ陽気。 ひとりっきり? ![]() パルコというのは公園のこと。ボマルツォの公園、、、う〜〜ん、、モストロとかモンストロとか怪物っぽいこと言った方が良かったのかな?不安になってきた。 ここどこ?タクシー帰っちゃったし。街は山の上。 ![]() む〜〜蒸気機関?ガラクタ?う〜〜むむむ〜〜〜。 ![]() え〜〜〜???どーーしよ〜〜。 とか思いながらトボトボ進んでいくとついに門に辿り着いた。
ローマに着いた日のこともほとんど覚えていない。写真を見ると雨だったことがわかる。しかし歩き回った。ホテルへ行くのにタクシーを使ったかどうかもよく覚えていない。
![]() 寝坊な我々はフィレンツェを出るのが遅くてローマには午後近くに着いたのだったと思う。ローマ駅でエスプレッソを一杯。チップに50リラの風変わりなコインを一枚置いた。 ![]() ホテルにチェックインして「さあイタリア、ローマの観光地といえばバチカンだ」とばかりにバチカン市国へ出かけた。ホテルから歩いていけた。 今地図を見てみると、周りにいっぱい観たいものがあってはかなくなってくる。当時はグーグルマップとか無くて、ほぼ紙一枚、日本にあるイタリア観光協会で貰ったイタリア語の観光マップを元にウロウロしていたのだ。 ![]() ![]() 同じ場所で前を写して後ろを写した。バチカンは日本で云えば東大寺か。円形広場の中央で空を突き刺すオベリスクと十字架。いい写真でしょ?昨日おととい写真のデータをHP用に小さくしたり色を整えたりしていたんだけれども、ふと思った。 「オレの写真て他のホームページで見る写真とまったく違ってる。」 それからもっと傲慢なことも。などなど。 ローマに来て、ベネツィアやフィレンツェで感じていたことがさらに強くなった。それは、此処の人たち、サイズを間違って造っちゃったんじゃないか?ということ。なにもかもでかい。でかすぎ。人と柱の縮尺、人と扉の大きさ、かな〜り異常な感じ。信仰のための神と人のレベル差なのだろうか? バチカンにはコンクリートが使ってある。たしか古代ローマの頃からこちらではコンクリートが使われている。コンクリートだから新建築なのではない。間違っているかも知れない。詳しく知りたい人はフィリッポ・ディ・セル・ブルネレスコのことなどを調べるとよいだろう。 とてつもなくでかい空間。下にこれもでかい四方の柱のねじくれた天蓋のついた祈祷用の壇がある。空間の中にかるがる置かれた空間、二重の空間がパンテオンをより大きく演出している。 東大寺の毘盧舎那仏を置いたら似合うだろうなぁ。それから大理石の布、すげえ。溜め息。 ![]() ![]() そしてバカは登らずにはいられない屋上への道。屋上とそのあたりから見るバチカン内部の俯瞰。落っこちる人いないんだろうか? ![]() ![]() 屋上からさらにパンテオンの上へと登る。これがまさに円球状の建造物の天井と屋根の間を思い知らされる歪んだ空間で、高所恐怖症の自分としては高さを想像するだに足腰がガクガク震えてくるのだった。このままどんどん空間が横向きになっていったらどうやって進めばいいんだ〜〜!?と恐怖におののきながら登った。 ![]() 頭上に圧力を感じて壁にもたれるようになる頃外に出られた。あ〜よかった。ホッとする。 ![]() ![]() イタリアはどこの街に行っても、どこに工場があるのかわからない。スーパーマーケットや百貨店もよくわからない。誇らしげなブティックが並んでいたりはするけれども、安い看板のファーストフードもよくわからない。同じ色の屋根が連なる美しさ。どこにカメラを向けても絵になる。 誰も彼も文化を受け継いでいるプライドを持っているように感じる。 ミケランジェロと同じように彫って誰が彼を越えられる?ダ・ビンチやラファエロと同じように描いて越えられるだろうか?越えられなければ違うやり方を考える。 そうして創られたそれは、かつての彼らの作品らと並べられるだろうか?そうしたことがモダンの価値観となっているのだろう。イタリアの車や文房具や家具やその他いろいろの美学はそういう価値観が根底にあるのではないだろうか? 京都を山から見たらビルと室外機と安い看板でいっぱい。屋根もクソもない。それが日本人の風俗とエコノミックな美意識。伝統は一部の人の優越感の中にあるばかりで、知的外国人以外のよそ者には共有されない。世界遺産に登録して観光客を呼ぶだけの都合の良い腹。どうして丸ごと残っていたものを保護しようとしなかったんだろう。いつも思う。木造は本当に保存できなかったんだろうか? そしてまた歩いて移動。どこを歩いたかよくわからないが、写真の順を追うとサンタンジェロ城や天使の橋を渡ったことがわかる。それからまたすごいところに行ったけれども開門時間が終わっていて中に入れなかった。 ![]() ![]() コロシアム。「ドラゴンへの道」で観て以来憧れの地だったが此処ももう間に合わず。金網の隙間からのぞき見たのみ。観光本に「ジプシーが多い」と書いてあったので客足が引いたここにいるのも少し危険な感じがして離れた。 ![]() それから宿泊したホテルエリゼオ。 ![]() < 前のページ次のページ >
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