【4-D】
記号の名前は嫌い。けれども最高に大好きな横川理彦を観たいので観に行った。久々。かつて高円寺で彼は「two of us」と称して100回のインプロビゼーションライブを行った。
インプロビゼーションは嫌い。けれども最高に大好きな横川理彦が観たいので何回か通った。なぜでもどうでも毎回面白かった。なぜインプロビゼーションが嫌いなのかわからないぐらい楽しんだ。
同じ高円寺。HIGHという立派なライブハウス。「前座は観なくていいや」のつもりで行ったら4-Dの出番が先で途中から観ることになった。というか、会場の扉を開けたら中から女性が溢れてきそうなほど満員。いやがられながらもナントカ隙間を縫って潜り込み、巨大な女子の後ろで観ることになった。巨大な女子はたいそう巨大で、舞台の中央以外しか観ることができなかったが、横川氏は幸いなことにはじっこで演奏していたので見られた。バンドの主格の入道小西殿はよく見えなかった。
演奏は、なんというのかトランス?テクノ?オルタネイティブ?よくジャンルがわからないけれども用意してきた打ち込み的なフレーズオブジェに即興で彫刻を加えるといった感じ。
モロッコからやってきたほぼ打ち合わせ無しのドラマーのリズムが過激。当を得たギターの短い「彫り」も危険な感じだった。リズムに合わせて歯車を刻みつけるドライブするような爆音演奏がよかった。予定破滅的な横川氏の性格は、えてして退屈に終わっちゃうテクノポップの安楽ユートピアに対するニヒリズムみたいで面白い。
対バンが「フロッピー」というバンドで、女子の目当てはそのバンドだったのだろう?背が高くてユーモアがあるイケメンテクノポップバンド。前に「電脳のクリスマス」というライブイベントで観たことがあるので、今回は観ずに帰った。
これ切れないのね…。短くしたかったのに…
【Caccinica(カチニカ)】
「黒色すみれ」のさちさんが参加する見映え美麗の耽美室内演奏団。びっくりするような完成度。「勝手にぼくに挨拶するな!ビシィッ!!」みたいな『ポーの一族』のアランのような性格を帯びた退廃的雰囲気のカウンターテナー湯澤幸一郎の毒薬の食卓。
観客も美麗。ビジュアル系というとなにがしか滑稽な感じを抱いてしまうぼくにとってこの諧謔な歌い手はシリアスで孤独に感じられた。ひとつの美学的結晶に貫かれていて清潔で美しい。
オリジナル曲もいいけれど、「アンコールで演奏することに決めている」というカッチーニの「アベ・マリア」は美しく妖艶。なんかすごい。なんか、すごい。
【ロンサム・ストリングス+湯川潮音】
先日鎌倉で観た田村玄一(あのときはスチールパンだった)の所属するバンド。前にも一度リポートしました。
今回も遅れてしまったので「ケルンコンサート」の途中から観た。残念、「ケルンコンサート」は始まりの4音がとても美しいのに。
第二部から湯川潮音(というか潮音ちゃん)が参加。勝ち気な少年の目つきの少女。最初はナニトモナク「ふ〜〜〜ん」「へ〜〜〜〜え」で聴いていたけれど、なんだかだんだん引き込まれてしまった。変声期前の少年の声をもつ酒豪おやじ的性格らしい。こういうときお酒が飲めたら…と、つくづく思う。
曲はあまりピンとこなかったけれども歌声に惹かれる。ロンサムの桜井氏のエレキギターの音がこの日はやけに歪んでいて(まずわざとに違いないけれど)、ちょっと潮音ちゃんの声の邪魔になっていたような気もしないではないけれどもこういうことはまあ個人の感想なので仕方がない。
マイナーな曲で、田村玄一のペダルスチールのソロが踊ったときは最高だった。今回は半分の時間ほぼ湯川潮音(というか潮音ちゃん)ライブになっていて、ロンサム弦楽的にはちょっと物足りなかったけれども、それを補って余りあるほどかわいい天使を見られたのでちょっと得したかも?な気分で家路についたのだった。