近隣の町から海の行楽目指して鎌倉に人が押し寄せる頃、ぼくは車を東京に走らせて渋谷の東急文化村シアターコクーンに行ったとさ。
なんだかこの頃、車の発進の時のトルクが無い。というかカブってもたつくような感じ。インジェクションの清掃で直ったりしないかな?プラグは冬に換えたしなあ…なんだろう?
珍しく芝居に余裕を持って間に合った。
「道元の冒険」井上ひさし原作、蜷川幸雄演出、伊藤ヨタロウ音楽。と同じ大きさの活字でチラシに名前が列んでいると面はゆい。伊藤ヨタロウは旧知の知人だもん。すごいすごい。(でも、「面はゆい」は使い方があってるのか?)
コクーンの椅子は以前は快適に思ったが、今回なんだかひどく苦痛だった。
筋書きは、道元の仏法の悟りを得るまでの半生を描いたもの。鎌倉時代の新宗教の祖や高僧が何人も出てくる。親鸞、日蓮、それから栄西、その他いろいろ。ぼくの好きな重源の後の時代で、陳和卿にゆかりの源実朝も出てきてうれしかった。
将軍職にありながら厭世的な性格で、歌など詠んで異国への旅を夢見ていた実朝は、やっぱり芸術家には愛される人物像なのねえ。
また、重源の後を継いで奈良東大寺の再建をつづけた栄西が堕落の禅僧として描かれていた。もっとまじめで謙虚な人柄を想像していただけに意表を突かれた。
阿部寛演ずる道元は、こっちはこっちでまじめ一徹の面白くなさそうな人柄。いつものふざけた軽い笑顔の演技と雰囲気を変えてどっしりしていた。身体の大きさに助けられてカリスマを演じなくて助かったというパターンなのかも。ほぼずっと座っていたな。
しかし、最後は結局精神病院劇に落としてしまうありふれすぎた結末の演出で、落胆の奈落に落っこちた。全然そうする必要がないのに!バカか蜷川。
うううう、もうやめてくれ病院オチと夢オチ。
禅寺が舞台だからか、美術もシンプルで、照明も悲しいほどシンプル。
音楽はへんてこりんだけれども力強い。この詩にこれ以外のメロディーがどうつけられる?というくらいよくできた音楽だったと思う。伊藤ヨタロウよく頑張った。それからY氏ご贔屓の栗山千明ちゃんはとってもかわいかった。
帰り、首都高速の悪辣な標識のせいで愚かにも大黒ふ頭あたりで降りる羽目になり怒髪天をつく思いだった。しかし道を間違ったせいで通りがかった「生麦事件」の生麦という土地でおいしいラーメンと餃子に巡り会った。
あああめでたしめでたし。はう〜〜東京はドス暑い。