ひどく汚れている学校のトイレ。壁は木造で、雨漏りがしてびしょびしょに濡れている。古く貧しい観光地にあるようなコンクリートの床が染みだらけでアンモニアの匂いが鼻を突く。
しかも狭い室内に休憩時間に急いで出入りする連中がごった返していて不快でしょうがない。ひとりで不安だったが、友人のOが何か大きな声で話しかけてきた。
「あとで寄るよ。帰り一緒に帰ろうか?」
トイレを出て、そこはやはり古い木造の校舎風の大きな建物だったが、いる人間はみな年齢がばらばら。廊下の行き止まりの教室に座っていると、教官がやってきて出席を取る。どうも自動車交通安全センターみたいなところにいるようだ。
そこでつまらないありきたりの話を聞く。教室にOの姿が見えないので不安になってきた。授業が終わって板張りの暗い廊下で女優のYに会った。
「今日は代車だからつまらないの。あとで家に行きます。」と言っていた。
Oと一緒に来るのだろうか?
自転車の農家のおばさんたちの後ろを走ることになった。黒いポンコツの車で埃っぽい道をのろのろ進む。おばさんたちと思っていたらいつの間にか子供にすり替わっていた。野球帽をかぶっているがユニフォームなどは着ていない。活発な少年たちの後ろをついて行くと湖畔に出た。
小さな湖。湖岸には葦が生い茂っていて水面はその隙間にかすかに光っている。
周回路を右回りでいった方が距離的には近いが道が悪い。左回りで行けば砂埃は立つけれども一応舗装路だ。
「右回りで行けば早かったかもな。Oはもう来てるかな?」
開いた本をうつぶせにしたような箇所が道路にあって、車が一度飛び上がったが大したことはなかった。山裾の橋を渡ってゲートをくぐると湖畔の我が家だ。
まだ、誰も来ていないので、自転車で学校へ出かけることにした。途中の角屋で牛乳コーヒーを買って行こうと思うけれども、今度は右回りの道で行こう。
そういう夢だった。