この頃朝は、S川さん宅をドガンドガン打ち壊す音で目が覚める。ガワンガワワンとトタンを剥がす音がすぐ耳元で聞こえる。寝てなどいられませんわいなあ。
狭い露地に足場とシートが迫り出してきて、バイクが出せなくなってしまった。それはまあいいとして。S川さんちの前にあったとげとげの植物もどこかに捨てられちゃうのかな?などと気にしてみた。植物は、動物ほど動き回ったり鳴いたりしないものだから、ついついあんまり生きてるような気がしませんが、れっきと生きている。ひょっとしたら人間なんかよりよほどよく感じたり、吸ったり吐いたりしているかも知れない。
そこにあったときはホントに邪魔で、バイク整備のときには何かにつけてちくちくと鬱陶しく刺す立木だったが、捨てられては哀れと思った。それで、その木のあったあたりのシートをなぞってみたらちくっと刺された。なんだまだあるんじゃん。
まったく。んにゃろーめ。
10時になるとさっぱり音が止んで、また10時30分になるとドガドガ、ガシガシ始まる。気持ちがいいくらい時間いっぱいに働いている。怪我しないようにねえ。
昨晩、0時半頃市ヶ谷の防衛なんたらの前を車で通りがかると一車線はタクシー長蛇の列。公務員たちがほいほいとタクシーに乗って帰っていく。終電が無くなった途端に仕事を切り上げて帰るンだろうか、あの人たち。あと30分早く切り上げれば電車で帰れるやん。軍人は一般人と同じ電車には乗れないんだっけ?
そして守るのはつまり(より上位の)コネの有る人だけを守る。
ありがとう諸君。お国のために行ってくれ。
人の帰ってこなくなった家はさびしい。明日も使われるために「そのまま」になっている洗面器や鍋やたわし。タンスや洗剤。ベッドや暖房器具やテレビ、なにやかや。いつまでも主が来たときのために「よい顔」を繕っている。こうして壁が剥がれて、無惨な有様になってしまっても、まだ主を待っているように見える。
S川さんはどこに行っちゃったのかな?悲しい風景だな。