独楽紐で結ばれた二匹の猫が遊んでいる。独楽紐は、もう使い古されて土色になっている。丸まるとした猫をくるくるとX模様に巻いて、独楽結びになっている。先っぽがどこだかまるでわからない。ほどきようがないのでしばらく放っておいた。どうせ仲の良い二匹の猫だ。
仕事を適当にして降りてきたら台所の床をごろんごろん転がっている。さっきまで二匹だったのが三匹結ばれていている。土人の投げる絡みつく紐の武器のようにどうにもならなくなってゴロゴロしている。結び目はあるけれども、紐の先っぽがどうしても見つからないのでほどけない。仕方がないから放っておいてテレビを見ることにした。
茶の間に座った途端、勝手口でカチッと鍵の開く音がした。悪い予感がして見に行くと近所の人が五人ほど立っている。先頭には青色申告会の集金のおじいさん。後ろは話したことのないおばさんたちだった。挨拶をして、用件を聞こうとすると黙ってぞろぞろ上がり込んできた。こたつに座るとみなめいめいに話し始めた。何かやっかいなことを押しつけられると思っていたら、ぼくのことなどお構いなしにお茶を淹れて飲み始めた。