モグワイは特別なバンドです。モグワイを聴いたり観たりした後で、「あれより凄いことが出来る」と言うのはたやすいことです。難しい楽曲ではないし、ギターテクニック的にも大したものではありません。セックス・ピストルズが飛び出てきたとき「アレなら出来る」とばかり無数のバンドが出てきました。あのバンドの前にも後ろにもパンクのムーブメントはありましたが、結局パンクというのはあのバンドひとつっきりでした。(トイ・ドールズも好きだったけど…)
バンドの力量というのは、演奏したその一曲の響きが心を奮わせる力を持っているかどうかです。カラオケで歌えるいい曲を作るのはバンドの仕事ではありません(理想的には)。
頭のいいプロデューサーならそのどちらもやってのけられるとは思いますが、モグワイのメンバーはスコットランドのからっ風の中で育った少年たちです。小賢しく器用なことが出来るか出来ないかは個人の資質ですが、ピアニッシモからフォルテッシモまで吹き荒れるエレキギターの暴風は、器用さを吹き飛ばす快感があります。
考える前に聴く。聴く前に暴音を浴びるっちゅうのがモグワイを愉しむやり方なんだと思います。
それにしても、スタンディングっていうのは、体のいい押し込み方法で、狭いスペースにいかに人数を動員できるか?っていうことになっちゃってる。
立って観るのはいいけれど、ぎゅうぎゅうで身じろぎも出来ないのは「オール・スタンディング」の意味がちょっと違うんじゃないの?せめて体を揺さぶるぐらいのスペースは欲しいもんだよね。