ご存じ、東京渋谷、ラブホテル街のど真ん中のライブハウスON AIR-WESTの入り口の階段。昨日は濡れなかった。雨男ヨタロウが牽引するメトロファルスのライブのある日はことごとく此処が濡れて、傘をたたみつつ登る階段が滑る感じがして用心しつつ登ったものだった。
朝、インターネットにログインするとニュースは勘三郎の訃報を伝えていた。
「勘三郎ってだれだっけ?」
ぼくの知っている勘三郎は、来年にはすっかり元気を取り戻してまた「なにいってやんでぃしゃらくせぃ」などと威勢よく檜舞台の真ん中でだだをこねている予定の勘三郎。だが訃報はその勘三郎のものだった。信じられない。
愛すべきバンド、メトロファルス。キーボードのライオン・メリィが来年から田舎に引っ込んでしまうので、ちょいと息継ぎ?小休止?休眠? だがこれが最後ではないとヨタロウ。日本一ダンディなバンドだと思う。
アンコールを含めて3時間、二階の一番後ろで壁にもたれて見ていたので足がヨロヨロ。オッチャンの腰殺しバンドの異名を与えようメトロファルス。
昨晩のバンドメンバー及び参加者を忘れないように記しておく。
伊藤ヨタロウ、ライオンメリィ、光永巌、ボッシ、西村哲也、川口義之、片岡正二郎、熊谷太輔、磯部舞子、福島ピート、最上川エミリ、ホールズ、斉藤トオル
斉藤さんは伊藤ヨタロウの別ユニット「メトローマンスホテル」のキーボード奏者。お互い「ヨの字」「ノの字」と呼び合うような親交のあったヨタロウ氏が勘三郎へ捧ぐ曲を歌うために急遽呼ばれたらしい。
留まる人、進む人、旅する人、休む人、その他いろいろ。
乗る人が無くても船は行く。
ライブが終わって表で打ち上げの時間まで見知った仲間で無駄話。別のライブハウスでギグを終えた若い人たちが楽器を搬出。出待ちのファンとか仲間たちとかアドレナリンのなごり。口紅真っ赤なパンクファッション、超気取ったロックなあんちゃん。懐かしい。おれたちこそがラディカルだった世界が常に重層的に流れている。
そして打ち上げ。最高にラディカルな少年たちが笑っていた。
ぼくは民放生放送で由紀さおりさんのバックで演奏をつとめた友人の活躍がどうだったかが気にかかっていた。そして都会で人にまざって風邪をもらったかも知れない。