黒色すみれの新アルバム発売ライブにあわせて帰省したのが3月3日。
東京のライブは遅れていったので全部観られなかったが、名古屋得三のライブは最初から観た。素晴らしい曲集。まだこんなに言葉を大切にした麗しいメロディーが出てくるってすごい。新しいアルバムは北原白秋の詩に曲をつけたのが大半なので、いつもの無邪気と邪気を含んだ雰囲気とは少し違ってしっとりロマンチック。テーマは大正ロマンで方向性は「開運」。ジャケットもにぎやかでハッピー。
震災以降ふさぎがちで運も下降気味かと感じているアナタ、運勢上昇のささやかな手助けに詩情豊かな名曲集をいかが?
翌日は、東京から黒色すみれのツアーに同行しているチルチル座の人たちと合流して、浜松ツアーにつきあった。うなぎ屋、国際楽器博物館、うなぎパイ工場、浜松辺りの海岸を廻った。
楽器博物館は面白かった。音を出すためにあれこれ頭を捻って考え出す形がどれも面白い。くねくねぐるぐる、なぜこうも曲げるのか、欲張るのか。音楽家とは或る部分テクニック自慢で、サーカスのように妙技、奇手を披露して聴く者を驚かせ喜ばせたい、という欲望が強いのだろうなあ。
もっとも根源には「祈祷(グルービン)」という部分が残っている。素朴に叩いて踊る、そういった器具に呪術的な装飾が施されていて面白かったり。部分的にはスチールギターが抜け落ちてて少し寂しかった。現代全盛のエレキの歴史は楽器屋に行けば観られるからいいか?
浜松の海は、鎌倉の海とは全然違っている。違う海の風景。鎌倉に住んでからあまり旅行に出ていないから他の地方の海にほとんど出会っていない。だけどやっぱりいろんな海がある。他所の海を観るのも楽しい。
分厚い波。昔来たときは真っ白な、どうしようも歩きにくい深い砂浜だったように記憶しているが、雨降りだったからか少しダークで歩きやすかった。ひょっとしたらもうそういう砂になっているのかも知れない。日本中ダムができて砂のきれいだった浜は失われゆく。砂も下りてこないから海岸線はどんどん狭くなる。そういうのを食い止めるためにテトラポットを置く。滋養に満ちた河川が無くなり、魚も少なくなる。さみしい国益発展の産業モデル。