てくてく歩いていくと有名な冷たい雨の中に花のドゥオモ。
現実とはこんなにあっけなく現れる。しかし、心はおおお〜〜〜。
中を見るのは後にして、先にウフィッツィ美術館へ向かった。ウフィッツィ美術館でフィリッポ・リッピとかボッチチェッリとか。
この頃はガラスの衝立もなく触ろうと思えば触れる感じ?だったかな?とにかく「プリマヴェッラ」や「ヴィーナスの誕生」の前で小学生がワイワイやって写真を撮りまくったりしていた。ような気がする。のに、なぜぼくは写真に撮ってないんだろう?写真はダメだったのかな?よく覚えてない。
橋の上は貴金属屋さんでいっぱい。職人もいてカンカンコツコツあれこれ作っている。こういう所、「パフューム」という映画に出てこなかったかな?
それからピッティ宮という所に行っちゃったかも。メジチ家のでかい庭園付きの御殿。雨雨。
よく覚えてない。グロッタがあって中に入らせて欲しかったけれどもただの一般人だし、誰も係がいなかったので黙って暗いところを眺めただけだった。
なんだかおかしなデブの像だな、と思っていたらメジチ家の誰か知らンの像だったらしい。こうした像を造って置けるなんて器がでかいというか、諧謔に富んだ人物だったんだろうと思わずにいられない。こういう精神性がなければパトロンなんて無理だろう。なんとなく澁澤龍彦の描いた藤原清衡を思い出す。
ここでも世界を思わせる象徴としての亀を見た。
たぶん寒くて疲れた。どこかでバールに入ったと思う。ベネツィアでチーズにあたって胃がもたれてさっぱりしないのでイタリア料理をまったく食べていない。砂糖付きのパンとかクロワッサンのようなのばかり食べている。
バールでカフェラテを頼んで、パンを食べようとうろうろしていたら「Panna」と張り紙があったので指さして「ぱんな、パンナ、ウノ」と頼んだ。周りがなんだかニヤニヤしたような気がしたけれどまあちっこい日本人がもの珍しいのだろうと思っていたら、運ばれてきたものは
飲み物で、カフェラテによく似たカップがふたつならんでしまった。
その後顔を真っ赤にして、レジ横にあった砂糖まぶしのパンをもう一度買いに行った。イタリア人たちは大きな声でなにか盛り上がっていた。イタリア人は常に声が大きいのだ。
アルノ川の色は濁っているのか、日本にはない色。曇り空が似合う。
ヴェッキオ宮殿も修復中だった。チンチンを見上げる経験はなかなか無い。
なんだか時間がおしてしまってふたつある塔のどっちに上がるか悩んだ末、高い方!と思って登った塔から花のドゥオモの展望所を見たらあっちの方が高くて悔しかった写真。
だけどドームに一縷の光線を当てた奇跡の写真。
日が暮れる頃、駅へ行く道がわからなかったので、ポリスに訊ねたりした覚えがある。それで駅へ向かう途中、聞いたことしかない高級ブランドの軒を連ねる通りを歩いた。そういう聞き覚えのあるところではない洒落たお店でひとつカバンを買った。
ホテルに戻って、ホテルガイドをパラパラ見ていた。このままローマも集団旅行に呑まれるのはどうかと思ったのもあったし、ひとつ泊まってみたいホテルの名前のメモもあった。澁澤龍彦が滞在中に泊まったホテル。そのホテルをガイドに見つけた。
自分で予約するのは無理なので、フロントのニイさんに頼んだ。航空券を見せろというので見せたら「この金額をおまえが払ったのか?」と何度も驚き混じりに聞かれた。なにしろ額面60万円の航空券。実際は12万円ぐらいで宿泊込みだった。
「シーシー、ぼくが払いましたよ。」
ホテルの予約はなんなく取れた。ちょっと高いけどいいだろう?
コジモ・ディ・メジチは「帆をかけた亀」を「急がば回れ」という教訓の象徴としていたらしい。どうもフィレンツェじゅうに亀の像があるらしいと、いろんなブログに書かれている。知らなかった〜〜無知が恥ずかしい。