観光旅行といっても、ほぼ自力でプランを立てているので、その土地土地へ辿り着くまでの計画を立てるだけで精一杯。時刻表の本など買ってかなり綿密に何重にも時間と路線を調べたが、「ナニを見るか」とかという目的を立ててなかったな、と、これを書きながら今さら思っている。
ベネツィアといって思い出すのは「ベニスに死す」とか仮面をつけたお祭り、ゴンドラとベネツィアガラスくらい?観光スポットはなにも知らない。しかしどこを見てもすべて絵。なんの写真を撮ろう?とか思う暇がない。どこを見てもどう切り取っても絵。
云っちゃなんだけど建物の傷み具合がとてもいい。ちょうどこの前年くらいにCanon T90というカメラを買ったばかりで、レンズは広角系の安いズームをただの一本持っていただけ。だけど狭い露地を抜けて運河わきの回廊を歩き回って撮るにはちょうど良かった。
古いKRのポジフィルムは保存が悪くて、時々蜘蛛の巣のようなカビがはびこってたりする。
時々、歌が聞こえてきたり、イタリア語の朗々とした話し声が反響したり、反響して耳に聞くもうひとつの街が現れる。運河に浮かべたボートにピアノを積み込んでいるた、この現場もやんやのイタリア語。引っ越しも船で行く。ベネツィア版ファイブイージーピーセズ。
昼前に、石の路地に大きく「こっちはシャワーがついてないねんて〜!」と響いてくる大阪弁。数人の大阪青年の旅だろう?ホテルをどれにしようか現地でリサーチしているようだ。どこへ行っても大阪人は大阪人。と思う反面、行き当たりばったり冒険中の彼らが少し羨ましい感じだった。
自分にしか思い出のない写真。シエスタになると売店もお休み。広場はから〜ん。確かこの日は日曜だったと思うけれども、日曜にもシエスタはあるんだね。間違っていたらゴメン。
今まで観た中で一番洒落てると思うショウウィンドウ。レンガ、コンクリ、ガラス、ペンキ、板、運河、汚い水、全部本物。見ようによってはデュシャンの遺作「与えられたとせよ 1.落ちる水 2.照明用ガス」に似ている?
もうとにかく目的無く歩き回ったけれどもまだまだ見たらない。目的地があったなら時間が全然足りなかっただろう。でも、まあまた機会があるなら美術館なども含めてもう少しゆっくり時間をかけて廻ってみたい。