チンクエチェントのワゴン。その頃はまだチンクエチェントという呼び方を知らなかった。車の免許も持って無くて車への興味もあまりなかった、けどデザインの面白い物には自然に惹かれる。
朝は、出勤のようにベネツィア駅から観光客が街に溢れ出る。ホテルからひと駅で観光地ベネツィア。改札を出ると丸ごと中世。まるっとまるごと。この辺の感覚が徹底している。日本はチョロチョロ虫歯のように抜いていく。木造って本当に保存できないのかな?
駐車場も駅の近くにあって、市街へは車は入れない。入れたとしても運河ばかりですぐにアーチで行き止まりになってしまうだろう。
ベネツィア駅改札を出ると日本人女子のひとり旅バックパッカーが販売機に向かっているのをみつけた。と思ったら後ろから二三人の子供がリュックにしがみついたり引っぱったりたかりはじめた。「うわ、ジプシー!」と情報誌で知って用心していたジプシー、のっけから現れた。助けに行ったろと思ったら、近くにいたこれもひとり旅の日本人男子がケムシを剥がすようにして追っ払った。良かった。
「良い出会いだな」と思っていたらひとしきりお辞儀ををしあって分かれていった。
ジプシーという呼び方は今はしないのかな?ロマという。元はインドの方から流れてきている、音楽の才能豊かな流浪の民らしいが、なぜタカリまがいのことをするのか我々他所の人間には理解できない。
観光情報は集めたけれど、特にどこを見たいという目標がなかったのでとにかく闇雲に歩いた。ベネツィアは闇雲に歩くのに適したところで、細い露地から回廊へ無茶苦茶に歩いても最後は聖マルコ広場に出る。そうできている?
はじめて中を覗いてみようとした聖堂。サンタ・ルチア教会という名だった。あの歌に名高いサンタ・ルチアの?あの曲の感じだともっと南の方のイメージだ。ぽつんぽつんと出てくる人が片腕がなかったりビッコだったりと、障害者に重用されているようだったし、観光用ではないような感じもして中を覗くのは遠慮しておいた。
少し調べてみた。ベネツィアの玄関駅の名前がサンタ・ルチア駅という名で、元々そこにあった教会の名を取ったらしい。それと関係あるのかこの教会は「(San Geremia)サンティ・ジェレミア・エ・ルチア 聖ジェレミアと聖ルチア教会」というらしい。リンク先ブログが親切に詳しく書いて下さっている。ぼくの写真と違って実に明るく聖なる明るさを宿している。やはりあの歌のサンタ・ルチアゆかりらしい。
よくよく思い出してみると、ぼくも実は中に入ってサンタ・ルチアの姿を見たような気がする。それともこれは造憶だろうか?パノラマめっけ
たまたま今日、こんな事を調べているけれども12月13日は聖ルチアの日らしい。なんという偶然。びっくり。
集合住宅の呼び鈴がこのようになっているのをはじめて見た。アメリカの犯罪ドラマにもよく出てくるけど、確実に押し間違えるなこれ。名札がベルの円周にそっているデザインがかわいいね。
脂ぎった笑顔のポスターが無いから街が汚れていてもきれいに見える。人間の欲望の目立ち度競争。あんなものを辻辻に貼って汚らわしくして平気な日本人はどうかしているといつも思う。まったくどこにでも選挙ポスターってキチガイ沙汰。
辻辻と云えばマリア様。日本にはお地蔵様の文化がある。小泉八雲が愛したお地蔵様。子供の守り神。ベネツィアの辻にも頻繁に聖母マリア様が祭られている。やはり母なるまなざしで子供を見守っているのだろう。
ピース。運河すれすれの戸口を塞いである。水が増えたからかな?