我が家は崖に寄り添うように建っている。家を建ててから崖になったのではなく、元から崖のあったところに建てたのだからそれを呪ったりするのは筋違いだ。この家は建て売りで、我々が買うのを決めるまでに28件ほど内覧があったらしい。人気だったのか不人気だったのか。家はふたりで住むには手頃、崖による日当たりの悪さが嫌われたのだろう。
なにしろ午後に太陽が傾きはじめると途端に日が陰る。夏は涼しいけどな。それに少し小高いところに建っているので空気がひんやりしている。浜に下りていくとある場所ではっきり下界の空気と層が違っているのがわかる。
南風は基本的に遮られるので颱風の時は静か。向かいの里山の陵にならぶ木立がワッサワッサと揺れて騒ぐのを見るのが楽しい。風が無く涼しい日だな、と思って市内へ歩くと猛烈に暑かったり、もうれつに風が吹いていたりして驚くことがある。
今では崖のない生活など、退屈でつまらないのではないかと思うにいたっている。
そんな崖がようやく紅葉しはじめた。
先だっての颱風の風は、いつもなら吹かぬこの辺りにもおおいに吹き荒れてひどい塩害をもたらした。そこいらじゅうの樹木の南向き半分だけ茶色く塩枯れているような状態だったが、崖のナナカマドは無事だった。というかこれナナカマドでいいのかな?引っ越してきたときに小さな葉っぱを見つけてその木だけ刈らないように残していたのだ。
一本だけの紅葉。カメラでみると後ろに紛れてしまうけれど、肉眼だとこれでも十分楽しめる。
そして百合の坊主がどうなってるかというと、まだあった。枯れてきててっぺんがちょっと開きつつある。どうなってるのか観察してくる必要がありそうだ。
写真の色がビビッドになる。現像中はとても好い色なんだけど、PhotoShop Elementに持っていくと色が派手になる。カラー調整で彩度をいじると地味になるばかりで実際の色から離れてしまう。どうしたらいいんだろう?「エレメント」が悪いのかな?