青山円形劇場で公演中の「Cloud」を観に行った。
知っている役者は田口トモロヲと伊藤ヨタロウ。いろいろな「ろう」がある。
「アラフィフ」といっていいのか、オッサン世代のITに対する惑いやジレンマが描かれている。物語のひとりが「なぜオレの人生を盗んだ」というようなことを叫ぶ場面があったけれども、ぼくも同じ叫びを上げたいくらい、芝居の中の「ライフ」が自分の「ライフ」に似ているのだった。
ありふれた「ライフ」。特別な人は誰もいない。
このブログを書き始めて数回目で多分「ブログの墓場」的なことを書いた。
書き手が死んでブログが残る。そういう墓場。読む人は書き手の生死など関係なく読む。読んだときが出会い。それは生なのか死なのか?もうそんなことはどうでもいいような人の生態系。端末に向き合う人は好むと好まざるとにかかわらず「クラウド」に関係していく。
前に見て「ヤク」がらみの重い芝居だったので苦手意識があった鈴木勝秀。ドライで痛い感じのする現実的な舞台美術もちょっと苦手だった。ぼくはグロテスクで人工的な天然色とヘビーな舞台美術で構築された暗い架空の芝居が好み。だけど今回はスッと腑に落ちた。
ペーソスをさっぱり演じた田口トモロヲが良かった。
観客は9:1ぐらいで女性。いったい誰が目当て?ん?
そういうことではなく芝居がいいから観に来てるのか?そうだよね。そりゃそうだ。
リピーターも多いという。今週末までやっているから行ける人は行くように。