リクドウがいなくなってもう一週間が経とうとしている。残されたアキツケ、ミノル、ハルコ、コトブキの生活態度に少しずつ変化があるようなないような。
まず、一番上の男子アキツケが二階に頻繁に来るようになった。
うちは二階がLDKで、リッキーは常にご飯を求めていたのでここに陣取っていた。アキツケは一階の部屋で寝たり起きたり食事を貰ったり、なぜか一階にも作ったリッキーのトイレも使うようになったから、ほぼひとりで一日階下にいる。
二階に上がってくるのは希だったのが、昨日などは寝てたりした。やっぱり無頓着でノンポリに見えても縄張り意識はあるのだろうか?それとも季節が少し涼しくなってきたからだろうか?
流し場。ここで毎朝リッキーは水を飲んだ。ぼくがゴミ捨てで外に出るときに一緒に外に出て蛇口の前に座って待った。シャンプーが置いてあるのは頭を洗うわけではなくて、バイクやクルマをいじって汚れた手を洗う洗剤が入れてある。しかし、ここは蚊がいっぱいで落ち着いて洗えない。リクドウもいつも蚊にたかられていた。
ミノルがようやくリッキーがいないのに気がついてきて、ここ二日ぐらいすごく鳴くようになった。ミノルの声は大きい。一般的な盛りの時の猫より大きい。昨晩は妖怪が取り憑いたかと思うような凄みのあるディストーションのかかったような声で鳴かれてビビった。
本人的には、何が起こっているのかはっきりわかっていないようで、なんとなく「いなくなったストレス」のために吠えているだけなのかも知れない。オウオウ鳴いているので、なだめるために起きて見にいくと、いつのまにかやめて玉座でちんまり寝ていたりするからおかしい。
昨日、階下の廊下のど真ん中にうんちがポロッと置いてあった。多分ミノルジョーのだと思う。それを片づけて拭いていたら、周りの壁にいっぱい黒い点々が張りついている。リッキーの鼻汁。亡くなる前ひと月間ぐらい、強力な粘着性の鼻汁がいつも垂れていて、それをくしゃみと一緒に家中にまき散らしていた。踏むたびに情けない気持ちになった。二階の床や壁はほぼキレイに掃除したけど一階にこんなに残っていた。
これをさっぱりキレイに拭き取ってしまうのはなんだかリッキーのこの家にいた証が薄れていくような寂しさがあるので一年ぐらいは放っておこうと思う。リッキーは鼻汁のせいで好きな食べ物のにおいが嗅げなくて少し不幸だった。だけどその鼻汁のおかげでぼくに思い出が蘇る。
下の写真は二年前。亡くなったときと同じ箱に入って威張っている。毎年送ってもらうぶどうの箱。このころはでかすぎて身体が余ってた。ボスの貫禄。