推古天皇と云えば額田部皇女。この頃、山岸凉子「日出処の天子」めいてるなぁ〜。
その天皇陵の近く、緩やかな丘陵なす田畑からボッコリ出っ張った小島のような土地に桜が植えられて見事に咲いている。
まるで能舞台のようだったので、ここに篝火を焚いて夜桜の催しをやれば沢山の人が集まるだろうと思ったが、こんなところに人を集めてわざわざ環境にダメージをあたえることもないから秘密にしておこう。
人が多く集まれば、それなりに××も比例して紛れ込んでくる。どうにかならんのか?
コンビニで買ったおにぎりを持ってN氏の愛車、シティ1300で山田の集落のホントに細いウネウネ道を迷いながら小野妹子の墓の下、科長(しなが)神社についた。聖徳太子の磯長陵と音は同じだけれども字が違う。なぜ?
長い石段を登る途中にも桜が横切っていて、風情は満点。しかしなにやら拡声器から出ているような怪しげな音楽が……。
前に来たのは30年ぐらい前。上がりきった広場に物置小屋が出来ていて幻滅した覚えがある。その小屋の出来る前は、ぐるっと視界を遮る物がない空中庭園を囲むように桜が咲いていた。夜中に来て真ん中で焚き火をしたら、ときおり燃え上がる火に炙り出される桜花が、宇宙にぶちまけられた金銀真砂のように広がった。
それ以上の桜は観たことがない。
上がりきってみると、休憩所みたいな建築物が出来ていた。以前落胆した物置小屋を大きく上回るがっかり。墓の丘にこんなん作ってええのンか?
いいんです。
しかも豪音量で鄙びた丘陵地に轟く演歌の音楽と相まって、じつに田舎くさい寂しさとわびしさが葛城の山々、ふもと、裾野、一帯に満ちている。か、か、か、悲しい。う〜〜〜ん実に調和が取れている。むむむーなんだこの日本的なバランス感覚。もう一回勉強し直さないかんな。
その休憩所を利用した餅つき大会。つきたての餅をホイホイ上機嫌で買って、演歌の音量が穏やかになる程度離れた畦の上に座っておにぎりを食べた。大学の頃は、斜面に育つミカンを勝手にもいで、いくつもいくつも食べたものだった。
推古天皇陵よりまだだいぶ高台になるので、眺めもこちらの方が雄大。春の竹藪が黄色に輝いている。もちろんPL塔も聳え、ところどころで桜が爆発している。
この後、聖徳太子つながりで太子町太子の叡福寺磯長陵にも行ったけど、また明日。