「フローラ逍遙」を毎晩少しずつ読んでいる。
四季を流れるせせらぎのようにやさしく光を跳ねている文。読んだ端からすーっと体中に吸い込まれていく。朝になったら何を読んでいたのか覚えていないのは、何を読めども毎度のことではあるけれど、気持ちの中に地下水が蓄えられる。
リンチ版『デューン』の救世主が暗い井戸を透視しているああいう感じ。
それにしてもエニシダ(金雀児)。いい響き。フランス語でジュネ、オランダ語でヘニスタというらしい。ラテン語でプランタゲニスタ。羊歯かと思ったらそうではなかった。
図版を見ていると、坂の脇の家にふっくらと咲き乱れていたアレか?などと思ったけれども、そういえばあれはミモザだったっけ。本物はどんなんだろう。と、つらつらネットで写真をいくつか見てみるとどっかで見たけどよく覚えていない。花の形は覚えたので、今度見たら名前を言えそうだ。
「N氏、これは金雀児といってな、オランダではヘニスタと呼ばれているんだよ。」
などなど。当て字もかわいい。どこかのアングラ芝居に出演していそうな名前だけど。
このとんがったのはエニシダぢゃなくて黄金とうがらし。市場の唐辛子マニアの農家の人が売っていたので買ってみた。食べた後で奥の方とくちびる周りにヒーヒーきいてくる。