銭湯の前で開くのを待っている姿が締め出されているように見えるので、いつしかついた渾名が「しめだし松」。そういう主人公の活躍する戊辰戦争の時代の小説、おもしろかったねー。
SRというのはヤマハ製のオートバイで1976年にデビューして、ほぼそのままの形で30年製造されました。ホンダのスーパーカブより外観上の形状に変更点は少ないのでは無かろうか?という歴史的バイクが製造中止らしい。
つい先だって30周年の頃、ブローバイガス対策などの環境に配慮した機能を盛り込んだにもかかわらず、新しい規制に対しては音量の面で有効な対策ができないというのが理由らしい。
上・初期型、下・2008年型。写真はYAMAHAのホームページから拝借。クリックで拡大。
空冷単気筒エンジンには、冷却用のフィン(銀色のギザギザしたところ)が切ってあって外観がいかにもエンジンっぽい。しかし、水冷にある水の通路ともう一つの壁が無いためにメカニカルノイズを押さえられないという悩みがある。カムやバルブやタペットのカチャカチャいう音やサイレント・カムチェーンの回る音。シリンダーヘッド周りからアルミニウムをたたく音がいくつも聞こえる。こうした音が押さえられない。
現行のSRなどプスプスという排気音がメカニカルノイズに負けていて、なんだかガチャガチャとものうるさい安物の機織り機械みたいな感じさえする。むーあんなに静かなのに規制に通らないのか。
こうなるとオールシーズンタイヤのノイズの方がよほどうるさいような気がする。やかましいから世田谷の国道246は廃止とかはいわんのだな。ゴムタイヤはうるさいからダメとかも言われない。飛行機やヘリコプターや船はどんなに騒音でも平気なん?
ダンディーな売り物としては、エンジンに布団を巻き付けて消音する訳にもいかないからなあ。
写真はYAMAHAのホームページから拝借
SRが現代のシングルエンジンのバイクとはいっても始動はキックのみ。ある一定の作法を持って始動させなければならない機械と自分との間の緊張感がある。騎士と馬というほどオーバーなことはいわないけれども、機械に対する尊敬と信頼がライダーを一種「同行二人」的な感覚に導いてくれるのだ。
というわけで誰の作った法律か知らないけれども、クソバカ御用達のビッグスクーターは生き残り、英国譲り?のライダーのダンディズムを少しばかり生きながらえさせたSRというバイクは、地上の歴史から人間より一足早く締め出されることになった。残念残念。残念なり。