ミノル。厳密にいうとミノルは猫ではなくて超人である。ゆえにミノルジョーと呼ばれる。
妻が猫を拾ってくるたびに「また薄汚いのを連れて来た」と苦情を申し立てていた。
ミノルのことは何度か書いたように思う。北千住に住んでいた友人が土手を這っている超人の赤子を見つけて拾った。それですぐに怪物や妖怪好きなぼくのところに連絡が来た。
「これは超人じゃないか!?」
「あれ?妖怪スモモキモモかと」
などなどのやり取りがあってうちが引き受けることになった。
拾って半年?一年?初夏の或る晩のことです。当時うちには五歳くらいのハバナ(雌)とリクドウがいました。ミノルジョーがサカリ出してとてつもない大声で家じゅうを徘徊。二階屋でふたつある階段を巡回しながら鳴きまくる。するとハバナが家から出せとぼくの肩に煩くつきまとう。ぼくも何かをやっていたのでうるさくてしょうがない。
それで少しだけと出してやったらそれきり戻ってこなかった。
ミノルは多分十三歳ぐらい。この頃、なにか食べながらちょいとしたきっかけで歯茎かなにかが痛むのか、手で口の周りを拭っていたりする。
もともと腎臓の具合の悪いらしく、よくわからないけれど数値的には生きているのが不思議なぐらいだと言われたこともある。なぜ生きているかというと超人は、ぼくに毎日お腹をさすってもらえるからなのだ。人よんで長生き気功術なり。